社長ブログ

【認識力を鍛える】感覚・知覚・認知とその先にあるもの

感覚・知覚・認知感覚・知覚・認知という言葉は聞いたことがあるだろう。これらそれぞれの意味は明確に説明できるだろうか。 ざっくりと説明してしまえば、感覚というのは、外界からの光・音・におい・味・寒温・触などの刺激を感じる働きと、それによって起こる意識をいい、視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚や、温覚・冷覚・痛覚などで知られている。 知覚は、それぞれの感覚についてその程度(強さや質)を区別することで、認知とは知覚されたものが何であるのか判断したり解釈したりするプロセスを言う。 ちょっと経営やマーケティング的な話を盛り込むならばブランド認知とは、そのブランドが何であるのか消費者の中で判断されたり解釈されるものを言う。

認識力はこれからも重宝される人間特有の能力

感覚、知覚、認知というのは、殆どの場合、連続的で同時瞬間的になされているのであるが、認知されたものを分解再統合して新しいものを生み出すということは、人間だけが持ちうる素晴らしい脳の機能といえる。つまりクリエイティブ。これは今盛んに盛り上がってきているAIにも暫くの間取って代わられることはないだろう。 AIが侵食してこれる領域というのは、せいぜい初期の情報認知と課題や方針が確定された後の各タスクの論理演算処理にすぎない。AIの進歩は今のところ、そろばん→電卓という進化の延長線上にある性能アップでしかない。

課題設定力=課題解決力

認識力という知的活動は、インプットとしての刺激や出来事を瞬時に見極め、それが何であるか、何ががどうなっているのかを定義し、それを解決または打破するための方策を立案してアウトプットする一連の活動のことを言い、そういう意味では課題設定能力(=課題解決力)と言える。 課題設定能力と課題解決能力がイコールなのは、問題解決出来ない第一の理由である「何が問題かわからない」という問題に対し、「何が問題か分かればほとんど問題は解決されたも同然」という法則に従っている。問題をブレークダウンしたものが課題であるから課題が設定できるということは課題が解決できるのと同義となる。

物事の背景にあるもの

さて、このことが冒頭の稽古の話とどう繋がってくるのか? クリエイティビティを備えない、つまり、認識力に不足しやがてAIに仕事を奪われかねない予備軍の人というのは、このブログをざっと見て、「なんかしょっちゅう稽古やトレーニングしてるな」とか、もう少し深く読める人は「居合や剣術をやってるんだな。筋トレを中心にやってるんだな」などと読みとるだろう。 これではダメだ。 今日示そうと思う一つの視点と言うのは、物事や行動の背景にある意図は何か?という視点である。意図を読み取るためには何がどうなっているかを正確に把握し、それが時間の経過とともにどう変化したのか、していくのかを定点観測する必要がある。 つまり、この人は日本刀(真剣)を用いた武術稽古や身体操法を通じて何を会得しようとしているのか(または今までに何を得たのか)、なぜ有酸素運動ではなく無酸素運動を主体に行っているのか、そういった視点で背景にある意図を読み解こうとしているだろうか?または読み取ることが出来るだろうか?ということである。 もう少し異なった表現をすれば、単に趣味で好きだからやっているのではないとして、なにか課題があってやっている、つまり、課題解決の方法としてやっているのだとしたらどんな課題があるのだろうか、なぜそれが武術稽古や筋トレで解決できるのだろうか、というところまで読み解けるだろうか、ということだ。

定点観測の意義

定点観測の意義は変化を読み取りトレンドを予測することにある。 毎日を漫然と生きるな、と言われたり言われている人を見たことがあるだろうか。 その場しのぎ、その日暮しで生きている人はその典型であるかもしれないが、成果を出せないビジネスマンも同様だ。 株価を例にすると、今日の日経平均株価を数字として知っているだけでは意味がない。それが前日と比べて上がったのか下がったのか、明日はどうなるのか、中長期的には?と、見通しがつくレベルで、かつ、それが各業界にどのような影響を及ぼすのか予測できるくらいになって使える認知レベルの情報となる。 武術において中心軸の養成とはまさに定点観測の意義も含んでいる。

分析力や観察力がある人はどんな分野でも高速上達

分析力や観察力は、課題設定能力=課題解決能力には不可欠で、認識力のある人というのはこの分析力や観察力に長けている(将来AIに仕事を奪われるリスクが少ない)人、ということができる。 こうした分析力や観察力に長ける人というのは、どんな分野でもこの力を発揮し、誰よりも早く大意を掴み誰よりも早く上達することができるものだ。 分析力や観察力とここで呼んでいるものの正体はと言えば、冒頭で既出の知覚に他ならない。それが何であるか、どういうことなのか、というのは認知以降のプロセスであるから、知覚による正しい情報把握がなければ当然間違った認知になる。

知覚をいかに鍛えるのか

知覚は、正確な認知を通じた正しい戦略決定(課題設定)をするために重要な機能である。 正しく知覚するとは、物事を先入観や固定観念抜きにまっすぐに、ありのまま、あるがままにに捉えるということだ。もののけ姫でアシタカが言った「曇りなき眼で見定め決める」ということである。 この知覚を鍛えるためには、知覚からはじまり課題設定して実行した結果がいち早く出る何かを継続的に行うことだ。 つまり仮説検証の高速プロセスが可能な何か、ということだ。 仮説検証というと難しく聞こえるかもしれないが、ようは実験と結果であり工夫と確認である。 こういったことをほとんど毎日実行できるように生活に組み込んで行きたい。 それには何かしらの稽古事や趣味を見つけることだ。没頭できて何時間でもやっていられるような。 たとえば料理はおすすめだ。レシピを見て作っているうちは稽古にならないが、ある程度精通し食材を見ただけでどういう料理にするか瞬時に見極められるようになってくるといい稽古になる。 切り方はどうしようか?火の通し加減は?味付は?などなど、しかも一品では済まない。二品三品と作れば組み合わせも重要となろう。料理は実験と工夫のしどころがたくさんある。 このように仕事には一見なにも関係のないなにかしらの稽古事(生涯学習)や趣味を持っておくと、仕事に最も必要でAI全盛の未来ではもしかしたらそれしか重要視されない認識力を鍛えることができるようになる。 なにか一つの稽古事や趣味を毎日やるわけにはいかないから、そういうのを複数持って日替わりでやるといい。料理なら毎日のことなのでお手軽だし、毎日違うことをやることによって違う神経細胞が刺激され、これまた知覚を磨くことになる。 脳力開発でなるべく多くのことに関心をもって何にでも首を突っ込む習慣を身につけようと言われるのはこのためである。

マンネリは知覚発達の敵

ここで注意点を。毎日行えることと言ってもマンネリするものは避けなければならない。マンネリは知覚発達の敵だ。毎日同じ時間に同じコースで通勤したり、同じコースを散歩したりランニングしたり。 マンネリというのは脳が刺激を感じなくなっている状態を言う。感覚が鈍るというのは脳がマンネリ化していることを言い、この状態では刺激を受け付けない。刺激という入力がないと知覚が働かないから知覚を磨くことにはならない。 知覚は考えながら行うことによって磨かれる。考えるためにはパターン化を避けて常に変化が必要がある。

まとめ

感覚、知覚、認知のプロセスを経て物事に意義を与える認識力の重要性について長々と書いてきた。 正しい認知をするためには正確な情報把握による知覚がなにより重要であり、知覚を鍛えるには何がどうなったという感覚の時間経過による変化がすぐにわかることを数行うことが大事である、ということを述べた。 数を行うには毎日の生活に密着した料理やお稽古事(数稽古とはよく言ったものだ)が最適であろう。 料理以外の家事は料理に較べて変化が少ないためマンネリに陥りやすい。マンネリしそうな事はたとえ毎日のことであれなるべく避けたい。 最後に事例を一つ。 あなたはこの写真を見て一体何を認知するだろうか。 ここまで読んできたにも関わらず「あぁ、ひまわりの花がキレイだな」では何も学習していない。 これは、今朝わたしが娘を保育園に送りに行ったときに保育園の駐車場で撮影したものである。この写真を添えて私はフェイスブックやInstagramにこんな投稿をした。 投稿内容が見れるように公開にしておいたが、それでも見れない人のために以下に全文を転載しておく。
ひまわりはなぜ太陽の方を向くのか 娘の保育園の向日葵。 一斉に同じ方角を向いているが、今は太陽を向いていない。それどころか、太陽を背に向けて西を向いている。 向日葵が太陽を向くのはなぜか? 花で光合成をするわけではないからこれは却下。 すると花ではない他の部位の作用となる。 葉っぱが太陽に向いて傾くのもあまり聞いたことがないし見たこともない。 すると残りは茎か。 茎が太陽に応じて動いている? とすると、花のある側の茎が太陽に向かうのか? でもそれはありえない。なぜならそうだとしたらこの写真の花たちはいま太陽の方を向いているはずだからだ。 消去法的に残った可能性は、 「茎の太陽と反対側の細胞がなんらかの作用をしている」 となる。 ここで一つ問題がある。 写真の一群はたまたま同じ方向を向いているが、すぐ隣の一群はてんでバラバラの方角を向いている。 よく観るとバラバラの一群は写真の一群より大きく成長している。 つまり、太陽と同じ方向を向くのは若いうちだけで、ある程度成長するとその時点で向いている方向に固定される、という可能性が考えられる。 おそらくそれは向日葵の成長に関わっているから、太陽を向く作用は向日葵の成長ホルモンに関係しているのではないか。 そういえば見頃の向日葵畑の向日葵は、同じ方向を向いてはいない。 さて、まとめると、若い向日葵の太陽と反対側の茎、つまり日陰となる側の茎細胞にある成長ホルモンが活性化し日陰側が成長するから花は自ずと太陽に向かう。 太陽が円運動するから、成長ホルモンは日陰側を螺旋状に活性化して成長を促すため、自然と花が太陽を追いかける形になる。 この運動はある一定の成長を迎えた段階で茎が堅牢になるためストップする。鼻はその時点で向いている方角に固定される。 という結論となる。 調べてみたらまさにこの推論通りで、この成長ホルモンはオーキシンというらしい。 では、写真の向日葵がなぜ太陽を背にしているのか? それは簡単。後ろの木の日陰になっているため、日陰側がたまたま太陽の方角だったのだ。 太陽が東にあっても何かに光を遮られれば日陰となり西を向く。
いかがであろうか。 日常の些細なことでもこうして感覚を研ぎ澄まし、知覚を最大限に発揮することでここまで深く認識することが可能だ。 これはこの記事を書いたためにあえてやったというのではない。わたしの頭の中は常にこのように考えるよう習慣化されてしまっている。ようはものすごく面倒くさい。

参考文献

私の認識力のベースはなんといってもこれ。 その他、この辺も読み物として面白い。

後藤 健太

後藤 健太

サムライ社長/株式会社コンセプト・コア 代表取締役

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