金山剣術稽古会はいつもと違って武道場が空いており、下半身鍛錬稽古からスタート。その後、先生より肩甲骨の状態による肌感覚や力感、つまり、「質の違い」について冒頭レクチャーがあった。 これはまさにコツ(骨)なのでここではあまり詳しくは触れない。 肩甲骨をある状態にすると、こう力が入る、いや、力が通る、よどみなく流れる、といった方が適切か、とにかく力強くなる。質的に。力んでいるわけではない。 早速明日の斬法稽古で実験してみる。 せっかくコツ(骨)について触れたので、本日の備忘録はこのコツ(骨)を利用した抜刀術の稽古から回想していく。 抜刀術は懐月(かいづき)と稲妻抜きを行った。 何れも抜刀前の肩甲骨の状態を意識した。肩甲骨の状態を意識しない以前と較べれば自分でもその質的違いに驚きを覚えた。四十肩を発症しているので特に右肩は不自由しており、肩甲骨もうまく運用することがかなわないのだが、それでも実感できる。 この質の違いというのは、そう、模擬刀と真剣の違いに近いなと感じた。 見た目が同様に見えても、重量がほぼ等しく作られていても、砂型亜鉛硬質合金の模擬刀と鋼を鍛錬して作られている真剣ではやはりその質的違いを柄を握っただけで実感することができる。おそらく目隠ししていても。これは肌で触れて感じ取っている肌感覚である。真剣の方は、こうピンと一本筋が通っている感じがあり、ブレなくしゃんとしている。それに較べて模擬刀はなんだか頼りない。 たとえ曲がりくねっていても力がよどみなく一本筋で流れるように関節と骨を運用することでこの質的違いが生まれる。実際には、これを瞬時に行う、あるいは常時そのような状態にしておく、ということができなければ実践的とは言えないから、稽古によって身につけていくしかあるまい。 当初からの課題である「初動」、つまり「オコリ」を感じさせない動きについて、このコツ(骨)がなにかしら突破口になりそうな気がした。力(量)によりよっこらしょと動き出すのは本質的に違う、というわけだ。 杖術では、十一の型を最後まで行った。最初から最後まで淀みなく一定に動き続けることが当面の課題であるが、先生より「つっかかるところが課題。それを解消すると上達する」との言葉があり、そのとおりだなと実感。と同時に、多くの人はそこまで(なんどもつっかかることを発見するまで)稽古してない、ということにも気づいた。 手を変え品を変えではないが、杖、木刀、居合刀と持ち替えてそれぞれの技を稽古していって共通で養成されるものの一つのは、正中線であり軸であり、インプットからアウトプットまでの一本線である。 それぞれが関連して相乗効果があるのは前回の「杖化する剣術と抜刀術」でも書いたとおり。 足払浮舟を行った剣術でも、斬り結んだ後の浮舟も正中線をブラさずに体を転回することで力感を失わずに発剣できることを実感したが、いつでもそれができるように身体化せねばならない。 敵の刀を抑えつける動きのときにどうしてもお尻が下がってしまう癖を発見した。臀部を鍛える必要性に気づいた。 抜刀術では今使っている2尺4寸の居合刀では物足りなくなってきて、もっと長いので稽古したいと思っているが、柄手に取る位置を工夫することでそれなりの抜き心地を味わえることを発見し、楽しく稽古できた。
経営顧問
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