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肩の使い方【研究備忘録】斬法総合研究所定例研究会20180816(居合・剣術・抜刀術)

Don’t think, feel! しかしながら、指導者としてのミッションは伝えることであり、伝えるためには普遍的なものにまで昇華しなければならない。 それは言語化できるところまで思考を尽くすことでもある。 自分の頭脳のスペックでは表現しきれない部分があったとして、だからといって思考を止めてしまうのは私にとってはナンセンス。 説明できないのは説明する脳力が今はまだ足りないからだ。 というのも以前まで説明できなかった「感覚」を今では言語化して明確に伝えられたりすることもあるし、それが言語として意味的に伝わったとしてもそれを実感として、身体感覚を通じて理解し、身体化してまた誰かに伝えられるかというのはまったく別問題である。 とにもかくにも、言語化できないものは伝わらない。 言語化できないものは再現性をもちえない。 今言語化できないものでもいずれ言語化できるときが来るかもしれない。諦めてはならない。 探求者であれば言語化しない段階で実感として感覚のまま留めることも許されるだろうが、私は探求者ではなく研究者であり指導者でもあり、伝道者であるから、可能な限り言語化する努力をする。諦めない。 余談であった。 さて、本日の真剣斬法研究会の研究テーマは「肩の使い方」。 肩と一言で言っても、肩甲骨周りの一種のシステムとして捉えなければならない。 下半身では股関節周りのシステム、上半身では肩甲骨周りのシステムである。 写真は趺踞(ふきょ)からの抜刀術である。不安定な着座状態から浮きを利用し抜刀し、斬る。 浮きをつかって身体を無重力化した瞬間に抜刀し一気に抜き斬る。けして立ち上がる力を利用して斬っているのではない。 股関節周りのシステムから始動し、肩甲骨周りのシステムを可動させて刃筋をつくり斬っている。 趺踞により座った時は柄頭が対象に触れるくらいの近間から一気に抜き斬るわけだ。 かつて抜き打ちは柄頭が斬るところに向く、という指導を受けたことがあるが、超近接距離では当てはまらないし、逆にそのセオリーが当てはまるケースというのは間合いが十分に取れている場合に限るからごく限定的だ。一種の指標にはなりうるが全体的、普遍的な原理原則には遠く及ばない。 柄頭も大切であるが、写真を見て分かる通りこの場合柄頭ではなく、鋒が鯉口を離れてそのまま真っすぐに斬るところに向かっていることに注目してもらいたい。 柄頭を向けなければ大きな隙を生じうるオーバーアクションな振りかぶりは不要である。そもそも柄頭は相手の身体に触れるほどの距離にあるのであって、それを体側にまで振る余裕も猶予もない。 加えて、逆袈裟に斬り上げるために鞘を返して、という「無駄」な動作も不要だ。斬り下げようが斬り上げようが水平に抜きつけようが抜刀は帯刀したままの姿形で行われなければならない。どうやって斬るか相手に事前に知らせるテレフォンカッティングは愚の骨頂である。 股関節周りのシステムで抜刀時の構えをつくり、肩甲骨周りのシステムで抜刀後の刃筋をつくる。正確には全てのシステムは連動しているのであって、バラバラに考えるのは理解のしやすさのためだけである。 斬り下げであっても斬り上げであっても思ったより刃筋か鈍角に入ってしまっている場合には肩周りのシステムをうまく使えていない可能性がある。 とはいえこういうのは数ミリから数センチ単位で微妙な角度や重心バランスの調整が必要なものであるから、第三者の目を要するという意味でパーソナルトレーニング的な要素が極めて強い。 しかも大抵は一回指摘されて治るようなものではなく癖になっている場合が多いので、何度も時間をかけて矯正していく他はない。 ましてこういうのは空気を斬っているだけの空間刀法では気づきようもないし直しようもない。 斬総研では基本7刀法という正面斬りからスタートし、その場足差し替え(踏み変えではない)で7回斬る刀法を制定しているが、これでうまく斬れるようになると肩甲骨周りのシステムと股関節周りのシステムがうまく運用できるようになる。 というより、上半身と下半身のそれぞれの要である肩甲骨周りのシステムと股関節周りのシステムの運用が斬法上達の肝である。 動画の最後の方に趺踞(ふきょ)からの抜刀術がある。

後藤 健太

後藤 健太

サムライ社長/株式会社コンセプト・コア 代表取締役

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