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ネットとリアルの融合したハイブリッド商取引の形は、近年オムニチャネルの急速な進展に伴い、新たな局面を迎えている。
これまで店舗は「売り場」に過ぎなかったが、ネットでも購買が出来るようになると、近隣への小口配送や試飲、試着、おもてなしなど、ネットでは実現がむずかしいサービスを提供する拠点として、「見せ場」「魅せ場」「試し場」などなど、ネットとは異なる機能や役割を担うよう進化してきた。
当社では、2年ほど前よりオムニチャネル戦略について助言教示している顧問先がある。そろそろ大々的にリリースになる頃だが、超大手の参画もありビッグニュースとなるとともに、日本のハイブリッド商取引の牽引役となると期待している。
さて、そんなオムニチャネル戦略の状況をずっと定点観測して研究しているが、1月19日の日経MJ第1面に面白い記事を見つけたのでシェアしておこう。
鮮魚すぐに配送
東京・品川区の武蔵小山に昨年12月に小奇麗な鮮魚店がオープンした。
sakana bacca(サカナバッカ)武蔵小山は、築地に本社を構え漁協と飲食店のマッチングから集荷、配送、決済まで行う鮮魚のネット卸事業を手がける株式会社フーディソンが運営。2013年7月にサービス開始後、現在までに約1200の飲食店が利用しているという。
町の飲食店が冷蔵庫代わりに使ってもらいたいと、ネットで調達する効率的な流通と実店舗の小回りの効く流通、両者を組み合わせたハイブリッド型鮮魚流通サービスの実現を通じて、適正な価格で鮮魚を流通させられる基盤づくりを目指している。
店舗設置により、近隣の店舗の急な小口需要に対応することが可能になった。これにより従来の効率的なオンライン取引に、実店舗の機動性と柔軟性、そして人間性が加わった。
今後の発展に期待したい。(株式会社フーディソン公式サイト→ http://foodison.jp/)
銀座で試着、iPadで注文
ついに出た試着専門店。
衣料品ネット販売を手がけるライフタイルアクセント(熊本市)は、12年10月にサイト開設、Factelier(ファクトリエ)の名称で、全国の縫製工場から衣料品を仕入れて販売している。
同社は、昨年12月に東京・銀座に実店舗「銀座フィッティングスペース」をオープン。試着専門なので路地裏の3階に店を構える。販売はしない。注文はiPadから。販売をしないため店舗に在庫を抱える必要がない。在庫スペースを確保する必要がなく最小限のコストで出店可能。商品は全国10数カ所の提携工場から直接配送する。
(ファクトリエ → http://factelier.com/user_data/store_ginza.php)
ハイブリッドEC第2世代
ネット販売と店舗サービスを組み合わせるハイブリッド化は、EC業界のトレンドであるが、単なる販売拠点の増加でとどまっている例が多い。これをハイブリッドECの第1世代とすると、第2世代であるサカナバッカやファクトリエは、明確にネットとは異なる役割を実店舗に持たせている。
ハイブリッド化によって、従来扱える商品数に限界があった店舗は、ネットの無尽蔵の陳列スペースを手に入れ、かつ、在庫リスクを抑えつつ店舗への来店を増やすことができるようになる。
ネットと店舗の双方のメリットを教授するためには、第1世代のような単なる販売拠点の増加ではなく、第2世代が示してくれたような、明確な棲み分け、役割分担は必要だ。
ユビキタスは、どこでも社会実現し、「いつでも・どこでも・だれにでも」のマス・マーケティングを加速した。オムニチャネルが加速するのは、マス・マーケティングのそれではなく、「いまだけ・ここだけ・あなただけ」のリアルタイム・マーケティングだ。
今後のハイブリッド商取引が目指す方向性は、そのどちらでもなく、マス・マーケティングとリアルタイム・マーケティングの融合である。
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