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杖術を直感的にはじめてみようと思ったきっかけは、斬法(きほう)は手首のスナップではなく手の内の作り込みで行うと確信を得たことで、手の内の養成のためには杖術がぴったりだと気づいたことによる、とは以前も書いたと思う。(ただし連盟系の杖術や杖道ではない)
今日の金山剣術稽古会では、まさにそのことを再確認することになった。
剣術では「受け流し」と「峰渡り」の稽古で顕著だった。手の内というとモヤっとするがようはMP関節の使い方である。下段に構え真向に打たせて来てからの後々の先で受け流しそのまま返しの袈裟斬りでは、受け流す時に右手MP関節、返しの袈裟斬りの時には左手MP関節を運用するのである。
受け流す時に右手MP関節を運用することで刀の棟が前腕にピタッと吸い付くようになり打ち込みの受けにもびくともしない。続いて返しの袈裟斬りで左手MP関節を運用すると鋒がスッと跳ね上がり、きっちり刃筋の通った袈裟斬りとなる。この左手MP関節の運用がないと鋒が跳ね上がらず受け流したままのぬるい軌道の首斬りとなる。
「峰渡り」では下段に構えた状態から敵が真向に打ち込んできたのを右手MP関節の運用により表鎬で受け、つづいて左MP関節の運用により刀を反時計回りに270度回転させつつ刀の棟同士が絡みつくように螺旋状に敵の首元に刃が真上を向いた状態で鋒を付ける。まるで木の枝を伝って獲物に近づく蛇のような動きだ。最初の下段の構えの状態で、手の内は限りなく自由にしておく必要があり、左右のMP関節で柄の上下を挟み込むように軽く保持しておく必要がある。
敵の打ち込みに合わせて右手のMP関節を運用すると鋒がピュンと跳ね上がり同時に真下を向いていた刃が左に90度向き表鎬で打込を受けることができる。すかさず左手のMP関節を運用し棟に沿って反時計回りに刃が真上を向くまで270度回転させ敵の刀を無効化しつつ首元に鋒を突きつける。敵の刀を無効化しつつ棟を滑りながら突きこむ技なので「峰渡り」と言う。
まぁ、やったことある人にしか何を言っているのか皆目検討がつくまい。
続いて抜刀術では、「飛燕」を行った。こちらも手の内を自由にした状態で敵が真向に斬りかかってきたところに右前方に体を捌きつつ抜刀し、鋒を自由落下させた後にMP関節の運用で鋒を跳ね上げ、斬り下ろした敵の小手を下から斬り上げる。
以上、剣術と抜刀術ともに杖術の手の内の運用を大いに活用した稽古となった。こういった気付きを逐一シェアしていたら金山先生より「もしかししたら剣術も抜刀術も手の内の使い方が杖術に近くなっていくのかもしれませんね」と。私もそう思う。だから杖術をやっている。