斬法研究稽古(自主練20170818)剣術・抜刀術

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【読了の目安 : 4 分】

日本刀を用いた武術は日本刀(模造刀ではない真剣)を用いて行わなければ本来の意味で稽古にならない。ただし、出来もしないのに最初から真剣をつかうというのではなく、木刀や模擬刀(居合刀)で散々練習したあとの仕上げ、微妙な感覚の違いを掴むために行うのが良いだろう。

昨今の刀剣ブームの影響か居合刀やコスプレのおもちゃ刀をして日本刀と読んだり、日本刀を帯びている気になっている人を見かけるが、日本刀というのは鋼を日本古来の鍛冶製法によって鍛錬したものを言い、居合刀やおもちゃの刀は日本刀ではない。厳密に言うと日本刀という呼び名は国外の刃物と区別するためのもので、国内では単に刀、打刀、太刀、真剣、差料などと呼ぶ。

というわけで、たまに真剣を用いた斬法の稽古を行うと良い。

余談であるが、わたしは斬法(ざんぽう)ではなく斬法(きほう)と読んでいる。斬法(ざんぽう)というと首切り処刑術を想起させるからだ。刀法に対しては刀術という言い方が一般的と思うが、刀術というのは剣術の別称であるし、刀との運用方法、操作方法という意味では刀法と刀術の区別はつけにくい。それよりは斬るということによりフォーカスして、斬るという切り口で刀法や刀術を分解統合する行為が斬法には含まれている。

斬法(きほう)という呼び方は私が創作したものであり、調査した範囲ではまだ誰も用いていないから当然一般的な概念ではない。また斬法(ざんぽう)というととにかく斬ることを主眼においているきらいがあるが、斬法(きほう)は斬る/斬らないは両面であると捉えている。つまり、斬れると斬るが違うように、斬れないのと斬らないのとは違うということだ。斬法(きほう)にはあえて斬らない技もある。

真剣は一振一振職人手作りのため個体差があり、それだけに個性的でそれぞれに特有の扱い方があるが、それに加えてそれを扱う人の身体特性や身体能力によって千差万別である。つまり同じ刀を同じ刀法・刀術で扱って誰もが同じように斬れるわけではない、ということ。

その人にはその人の斬り方がある、というのが刀法・刀術と斬法(きほう)のもっとも異なるポイントだ。ただし斬れるという現象事態は自然科学の範疇であり物理法則に従うので、厳密に言うと物理的に斬れるようにするための様々な工夫が斬法(きほう)であるとも言える。

さて、斬法稽古は真剣を用いて実際に畳表や竹などの仮標を斬るので、安全第一で行うのが常だ。

したがって、斬法稽古に参加する者は斬法稽古に参加する前に木刀や模擬刀で散々練習してきて、その成果を試す、というくらいの心構えであるべきだ。怪我しないことはもちろん、一緒に稽古している仲間を怪我させないためでもあるし、その場にいなくても何かあってはそこで稽古を継続することができなくなる。

そういう責任もある、ということを念頭において「好き勝手は許さない」雰囲気作り、ルール作りも同時に重要視される。

この辺は以前「【居合・剣術】技前上達のための稽古への心構え」という記事でも書いたので合わせてお読みいただきたい。

大事なことなので長くなったが、今日の稽古はざっくりと場所の開放時間を決めての自主稽古であるから、自分の練習成果の確認を中心に行った。杖術、剣術、抜刀術の稽古を一通り、杖と木刀、居合刀をつかって小一時間行った後、斬法稽古へ。

ウォーミングアップとしてまずは基本六法(真向、左右袈裟、左右逆袈裟、横一文字)を。今日は鹿島神流の斬割からスタート。

正中線をブラさずに左右の運動をなるべくしないように意識して行っているがまだまだである。逆袈裟や横一文字を斬るときに左右にズレながら斬る(つまり敵の攻撃を躱して斬る想定の)刀法もあるが、この場合、正中線の養成と共に、腕力に頼らず体幹で斬ることを目的としているため、ズレずに斬ることとしている。

同様に水平斬りを正中線をブラさず、しかもほとんど振りかぶらずに斬る練習。

通常水平斬りは切先が真後ろを向くくらいに構えるが、上から見た畳表に対して、90度、60度、45度、30度、一寸と徐々に狭めていき、最終的には畳表に刀が密着した状態で一刀両断することを目標に稽古している。

続いて、先日の剣術稽古会で習った「懐月(かいづき)」で斬る稽古を行った。

この技は、鞘引きを封じた状態で振りかぶった敵の懐に間合いを詰めて踏み込み、瞬時に水月に切先を抜きつけ、後ろ足を引く反力を利用して突く技であるが、二太刀目以降はアレンジであり、納刀もお遊びでやってみている。

最後は先日地方出稽古の折に野天稽古で練習した「鷲眼一閃(しゅうがんいっせん)」のリベンジ。前回は軌道が水平ではなく、やや逆袈裟気味になってしまっていたため、水平に抜けるように稽古した。

後半の技斬りは鷲眼一閃だけでは畳表が残ってしまってもったいないので、残債処理でやってみただけである。私個人は抜刀道には属していないし興味もさほどないが、やればできるという証拠残しの目的のためおまけ程度に。

参考までに前回のはこちら

これと比べれば今回のはキレイに水平に抜けるようになってきている。

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後藤健太

【サムライ社長】
斬法総合研究所所長/真剣武士道指南役
株式会社コンセプト・コア代表取締役/経営コンサルタント
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