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会社のウェブサイトにお知らせ済みですが、当社で運営する斬法総合研究所にて「真剣武士道のオンライン道場」がスタートしました。
斬総研では主に諸流派に伝わる技法研究を行っており、リアル稽古会は稽古会というより研究会に近いことをやっているので、特に今回新たに掲げた真剣武士道をメインにやっているわけではありません。
オンライン道場を開設するにあたり、カリキュラムのような体系化されたものが必要になりましたので、現時点での研究結果を「真剣武士道」として順次リリースすることにしました。
とはいえ、斬総研自体が流儀流派に属さない研究機関であるため、今後も研究結果次第では真剣武士道の教授内容も日々進化して行きます。
伝統や伝承を重んじる古流諸流派にはわたしの大切な研究教材となっていただいており、もちろん敬意を示しているのですが、一方で、研究すればするほど「伝承通り」というのはなかなかに困難だなと思っているのも事実です。
というのも、それを継承してきた一門のトップの個人的な解釈や理解により、伝承通りとは言い難い変化・改変が加えられ続けて来ているだろうことは、もはや疑いようがなく、また、伝統とはそもそも改変・改善が加わるもので、変化しながら時代時代に適応してきているものという見方もあります。
私はこの見方には否定的な立場ではなく、むしろ賛成しています。伝承と伝統は違いますから。
したがって、私が武術に向き合う基本スタンスとしているのは、伝統を重んじつつ、伝承を参照しつつ、最終的な判断は自己の身体に聞け、というものです。
伝承はそうだけれど本当かな、なんだか違う気がする、というのも最終的には自分自身の感覚頼りです。なので、その新しい感覚をこれが正しい!として新たに定義したり、あたかも連綿と続いてきた歴史を継承したかのように見せて、伝統の重みを付加するなんてことは絶対にしませんし、してはならないと思います。
身体に聞けといっても、身体というのもやはり錬られて行くもので、かつて心地よいと感じていた身体操作にやがて違和感を感じるようになり、それも否定解体して、さらい新しい身体操作にたどり着く、ということは日常茶飯事です。
身体感覚が錬られれば錬られるほどに直感は正しくなっていくのだと思います。したがって、直感が当てずっぽうにならないように研ぎ澄ましていくことが重要なのですが、直感を研ぎ澄ます唯一の方法は、身体を練磨することなんですよね。
つまり、身体感覚を研ぎ澄ませば研ぎ澄ますほど、より確からしい検証が可能となる、というわけです。
したがって、斬総研はいかなる流儀や流派、団体や協会にも属さず、公正中立な研究機関であろうとしています。身体感覚に反する教えの押し付けは無用ですから。
斬総研はもともとは、真剣試し斬りを稽古でやらなくなった諸流派の剣士のために、開かれた実証実験の場を提供したいという思いで設立された真剣試し斬りの研究所ですが、斬法稽古を通じて斬法が刀法から失われた要素を補うことがあることがあり、「斬法は刀法を補完する」ことに気づきました。
大体、何年も何十年も稽古し続けてきた刀法で斬ることができないというのは、おかしいと思いませんか?このおかしいと思う感覚を大切にしたいのです。
こうして、斬法研究を通じて刀法研究が一気に加速し深まったのを契機に、我々日本人にとってもいつまでも抽象的観念論に過ぎない我が国の「武士道論」も、伝承に縛られず身体感覚を重視する武術稽古によって経験的・体験的に理解が深まるはずだと体系化したのが、「真剣武士道」というわけです。
真剣武士道では、シンプルに居合・剣術・試斬の3種目を取り上げます。
斬総研の研究会においては、刀以外の武器術やその他武術、忍術や体術(柔)も研究していますが、真剣武士道ではひとまず居合・剣術・試斬の3種目に特化して行うことにしました。
オンライン道場の発想は、昨年夏以来なので1年越しに実現しましたが、もともとはオンラインサロンというサブスクリプション型のビジネスモデルがあることを知って、勉強したのがきっかけです。
以来、さまざまなオンラインサロンを研究し、一年かけて成功パターンと失敗パターンを分析して来ましたが、「道場」というのはオンラインサロンと相性が非常に良いと思っていて、自身のライフワークとも親和性が高いことから、これからが楽しみです。
オンライン道場は、オンラインサロンに習い、facebookの非公開グループ機能を活用して運用されます。利用者になるためにはfacebookアカウントを開設しなければなりませんが、登録は無料でできますから、これはあまりハードルにはならないと判断しました。もしカウントを持っていなければ、オンライン道場専用のアカウントとして開設すればよいですし、実際そうしている人も居られます。
facebookの非公開グループを利用することについては、アカウントを開設しなければならないという手間だけがデメリットで、それを潰してしまえばメリットばかりになります。なにより、どうしても参加したい人はなんとしてもアカウントを開設して参加します。
たしかに通常のウェブサイトのように一覧性や検索性に優れていなかったり、デザイン面の制約もあります。しかしながら、ライブ配信ができたり、それをアーカイブできてあとで好きな時に閲覧し放題であったり、世界最高クラスのサーバーに動画や写真のコンテンツも容量を気にせずアップロードし放題で、自社のサーバーの性能や容量に左右されずに安定して運用可能です(無料で)。
さらには,優れた翻訳機能が標準的に搭載されており、いまや世界中の人々とコミュニケーションを取ることが非常に簡単になっています。
ところで、皆さんはfacebook社のミッションをご存知ですか?
コミュニティづくりを応援し、人と人がより身近になる世界を実現する
これがfacebook社のミッションです。
実はこれ2017年の6月に発表された、新しいミッションステートメントで、創業以来それまでは、
人と人との繋がりをサポートし、よりオープンで繋がった世界を実現する
というのがfacebook社のミッションステートメントでした。
繋がりを「広める」から「深める」へ進化したわけですね。
この時、ミッションってそんなに簡単に変えていいものなの?という議論が少し起きました。世の中には「理念は不変、戦略は可変」などという言葉や考え方もあります。私は、「あり方は進化し、やり方は変化する」と常々クライアントに言ってますし、先に倣って言い換えるならば、「理念が進化すると戦略は再定義される」のであって、「戦術は戦略に従う」わけですから変化して当然、したがって、ミッションが「進化」するなど当たり前と思っています。
話が横道に反れそうなのでこのへんで元に戻します。なぜfacebook社のミッションをここで出したのかというと、オンライン道場を運営するプラットフォームとしてfacebookの非公開グループ機能が最適だと確信できたからです。
人々の繋がりをより深く身近にすることをミッションとして掲げているfacebook社は、ここ数年のアップデートを見てもわかるとおり、グループ機能をどんどん進化させていっています。新しいミッションを実現するためには、単に人と人、個人同士の繋がりを応援するだけでなく、共通の価値観や目的をもったコミュニティを応援する必要がある、ということなんですね。
これはつまりミッションが経営戦略にまで具体的に落とし込まれているということで、今後このグループ機能はますます充実していくはずだと容易に想像できるわけです。
このことは、facebookを単に個人的に楽しんでいるだけの人にはあまり関係ありません。グループに所属し、または、グループを運営することをしている人にとってはとても有意義です。
世界トップクラスの企業であるfacebook社が持てる経営資源を注ぎ込んで改良に改良を重ねる素晴らしいコミュニティツールが無料で利用できる。この最大のメリットの前にアカウント開設の壁などというデメリットは無関係と言えるほどに霞んでしまい、使わないという選択肢は今の所考えられないと思っています。
あとは、そのグループを生かすも殺すもコンテンツと運営者次第。時間を忘れて打ち込めるほどに好きなことでもあるので楽しみながらがんばります。
興味がある人は是非チェックしてみてください。