会社の存続と成長を保証するもの

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利益より必要なものとは

「社長、会社の存続と成長にもっとも必要なものを一つだけあげるとすればなんでしょうか。」

顧問先でよく聞く質問です。この質問に明快に答えられる経営者はほとんどいません。むしろ困惑される場合が多いのです。中には、それは利益だろう、とおっしゃられる経営者の方もおられますが、それは半分正解で半分不正解です。

確かに、利益目標を達成し続けることが出来れば、短期的には企業の存続と成長が保証されることになるかもしれません。ところが、中長期的にはどうでしょうか。

ある顧問先の社長がこんなことを言っていました。

「企業が利益を追求するのは当然ですが、今年の利益は諦めます。その代わり、人材を増員し、内部体制の強化と人材育成を行いました。さらに、新製品開発のための新規投資を行いました。その結果、今年の収支はトントンに落ち着くでしょうが、今後5年間を生き残り、成長するためにはやむを得ないと判断しました。」

この社長は、今目先の利益を捨てて、自社の存続と成長を保証してくれるものに投資をしました。

会社の存続と成長を保証するのは、ヒト・モノ・カネの3大経営資源だとよく言われますが、本当にそうでしょうか。豊富な資産、高度な技術、優秀な人材がいれば、それだけでその会社の存続と成長は約束されるでしょうか。

毎年の利益目標達成に努力している間に、一方では確実に存続の危機に近づいている、そういう会社が少なくないのではないでしょうか。企業にとって利益より必要なもの。それは存続であり成長です。

テレビ業界の勃興と映画業界の衰退

かつて黄金時代を築いたハリウッドの映画会社が、業績の悪化により軒並み没落していったのは、一般的には、テレビの普及によるものだと考えられていますが、これは正しくは経営戦略の失敗です。

いつの時代にあっても、経営者は経営環境の変化を経営悪化の理由にしてはなりません。企業にとって経営環境の変化は、変革の機会にこそなれ、没落の原因にはなりえません。

「映画会社が没落したのは、映画会社自信の経営政策上の失敗によるものである」

と言ったのは、「マーケティング・マイオピア論(Marketing Myopia)」を唱えたセオドア・レビット教授です。レビット教授によれば、映画会社は、テレビの出現に対して、2つの誤った経営戦略をとったと言います。

一つは、「大作主義」、もう一つは、「妨害工作」です。

①大作主義

当時の映画人は、テレビには作れないような良い映画を作りさえすれば、お客様は必ず映画を見に来てくれるはずだと考え、制作費を充分にかけ、一流の監督、一流の俳優を使った映画を作りました。

ところが、大金をかけた大作映画は、それに見合うだけの観客動員を実現できず、充分な興行収入を上げることができずに赤字を出し、映画会社の経営状況を悪化させました。

本当に良い映画と思っていたのは、業界人の立場から見たものであって、観客が見たがるものではありませんでした。これでは、単純に、観客の求めるものをつくろうとしたのではなく、単に、ただ良いものを作ろうとしたに過ぎません。

②妨害工作

もう一つの誤った戦略は、テレビ会社を敵視し、妨害するものでした。映像制作についてまだ未熟であったテレビ会社に対して映画会社は、一切のノウハウ、人材、技術を貸さない、使わせないように妨害工作をしました。

どんな映画やテレビ番組も、人気俳優が出てこそ観客は見たがるものですが、映画会社の妨害工作により、テレビ会社は当時のスターを使うことができませんでした。

経営環境の変化に対応し進歩発展してこそ企業活動

ところが、映画会社の大金を注ぎ込んだ大作主義と執拗な妨害工作にもかかわらず、テレビはどんどん普及し、成長発展していき、それとは反対に、映画会社は没落の一途をたどることになりました。

革新的な技術進歩が新しい産業を生み出し、古い産業を駆逐したと説明するのは簡単ですが、そのことが、古い産業に属する企業の没落原因であると考えるのは早計です。

斜陽化していく産業の中にあって、経営環境の変化に対応し、それを機会と捉え、既存事業の分野からの脱皮を測り、進歩発展していってこそ企業活動と言えます。

仮に、映画会社がテレビ会社を敵視せず、自社の成長発展のための最高のパートナーが現れたと捉えることができたとしたら、映画会社の没落のシナリオは描けたでしょうか。

映画会社の没落から学ぶ重要な事実

この映画会社の事例からは、経営環境の変化に対応して進歩発展していくべきということ以外にも、ある重要な事実を学ぶことができます。

それは、当時の映画会社には、テレビ会社に比べてはるかに優れた経営資源(ヒト・モノ・カネ)を有していたということです。つまり、豊富な資産、高度な技術、優秀な人材、その全てを保有していたはずです。

にもかかわらず、企業の成長どころか、存続さえ図ることができない映画会社が続出し、業界全体の衰退を招くことになりました。

それはなぜでしょうか。先に述べたとおり、革新的な技術進歩が新しい産業を生み出し、古い産業を駆逐したと説明するのは簡単です。そんな斜陽化する業界の厳しい経営環境の変化まっただ中にあっても成長発展する会社がある以上、また、ライバルに比べて圧倒的に有利な経営資源を保有していたことからも、没落した会社には、没落するに値する何らかの原因があるはずです。

会社の存続と成長を保証するもの

成長発展する会社にあって、没落する会社にはないもの。別の言い方をすれば、会社の存続と成長を保証するものは何でしょうか。先の映画会社のように、目先の利益を確保するあまりに近視眼的になり、顧客が真に求めているものを見誤っていないでしょうか。

ライバルに比べていかに優れた経営資源を保有していようが、避けることのできない経営環境の変化に対して、どう態度をとるかによって、その後没落するか、成長発展するか行方を分かちます。

この二者択一の経営判断こそが、会社の存続と成長を保証するもの、すなわち、【経営戦略】です。

あなたの会社には、自社の存続と成長を保証してくれる確固たる【経営戦略】があるでしょうか。

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後藤健太

【サムライ社長】
斬法総合研究所所長/真剣武士道指南役
株式会社コンセプト・コア代表取締役/経営コンサルタント
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  1. 2014年 6月 13日