人を変えることはできない。変えることが出来るのは自分だけである。
これは原理原則であるが、人を変えることはできなくても動かすことはできそうだ。それを裏付けるように、人を動かすことをテーマにした書籍にはあの名著もある。
「斎藤一人の人を動かす」を書いているのはお弟子さんだが、一人さんはデール・カーネギーの「人を動かす」を100回読みなさいと推奨しているように、本書はまさにカーネギーの教えを噛み砕いたような内容。
デール・カーネギーの人を動かす
この本は多くの人が推奨図書としておすすめしている名著なので、筆者も何度も読み込んでいる。以下にポイントをまとめておくので参考にされたし。
何度か通読している人であれば以下の項目を一瞥するだけで内容が思い出せるだろう。
普段思い起こすのには、このくらいの項目が適当で非常に便利。
人を動かす三原則
- 批判も非難もしない。苦情も言わない。
- 率直で、誠実な評価を与える。
- 強い欲求を起こさせる。
人に好かれる六原則
- 誠実な関心を寄せる。
- 笑顔で接する。
- 名前は、当人にとって、最も快い、最も大切な響きを持つ言葉であることを忘れない。
- 聞き手にまわる。
- 相手の関心を見抜いて話題にする。
- 重要感を与える – 誠意を込めて。
人を説得する十二原則
- 議論に勝つ唯一の方法として議論を避ける。
- 相手の意見に敬意を払い、誤りを指摘しない。
- 自分の誤りをただちにこころよく認める。
- おだやかに話す。
- 相手が即座に’イエス’と答える問題を選ぶ。
- 相手にしゃべらせる。
- 相手に思いつかせる。
- 人の身になる。
- 相手の考えや希望に対して同情を持つ。
- 人の美しい心情に呼びかける。
- 演出を考える。
- 対抗意識を刺激する。
人を変える九原則
- まずほめる。
- 遠まわしに注意を与える。
- まず自分の誤りを話した後、相手に注意を与える。
- 命令をせず、意見を求める。
- 顔を立てる。
- わずかなことでも、すべて、惜しみなく、心からほめる。
- 期待をかける。
- 激励して、能力に自信を持たせる。
- 喜んで協力させる。
フィリップ・マグローの人を動かす
人を動かすには、相手がどういう人間か理解し、その人を突き動かしているものが何かを知ればよい、という実にシンプルな提案をしているのが、史上最強の人生戦略マニュアルを書いたフィリップ・マグローだ。
翻訳者の勝間和代さんが自分の人生に最も影響を与えた一冊として日本に紹介し有名になった。
マグローは、人を本当に理解するために最低限知っておかねばならないことについて以下の8つのリストを提唱している。同様に、万人に共通する10の特徴リストと共に、自身の振り返りのために備忘録として併せて記しておく。
人を理解するための8つのリスト
- 彼らは自分の人生で何をいちばん大事にしているのか?倫理だろうか?それとも金や成功だろうか?あるいは力だろうか?それとも思いやり?彼らの人生観の中で本当に重要なものは何だろう?
- 彼らは、人生はどういうもので、どうあるべきだと期待し、そして信じているのか?
- 彼らは、何に反発を抱き、どんな傾向ー恐怖・偏見・先入観ー があるのか?
- 彼らはどんな姿勢やアプローチ、あるいは哲学を拒絶もしくは認める傾向が強いのか?
- ある人物が基本的に「いい人」で、信用できるという結論を下すために、彼らは相手からどんな言葉を聞く必要があるのか?
- 彼らはどういったことを適切だと見なすのか?
- 彼らは自分のことをどのように思っているのか?
- 彼らが人生にいちばん望んでいるのは何か?
万人に共通する10の特徴リスト
- 一番恐れるのは拒絶されること
- 一番必要としているのは受け入れられること
- 人を動かすには相手の自尊心を傷つけないこと、もしくはくすぐること
- 自分はどうなるのだろう? という不安を持っている
- 自分にとって、個人的に大事なことを話したがる
- 自分が理解できることだけに耳を傾け、取り入れる
- 自分に好意を持っている人を好み、信じて頼る
- しばしばはっきりした理由もなく行動する
- 上流階級の中にも料簡の狭いつまらない人間が入る
- 必ず外面があり、その下面の向こうにあるものを見なければいけない
楽観的でも悲観的でもなく現実的に
稲盛和夫さんがおっしゃられたことに、
「楽観的に構想し、悲観的に計画し、楽観的に実行する」ことが物事を成就させ、思いを現実に変えるのに必要なのです
という言葉がある。
「悲観と楽観」
楽観的ばかりでも、悲観的ばかりでも、物事はなかなかうまくいかないのかもしれません。
悲観的な人は、夢や目標をもちにくいのかもしれません。
楽観的な人は、計画が甘くなりやすいのかもしれません。
悲観的な人は、実行力を発揮しにくいのかもしれません。
悲観的か、楽観的かは、性格というよりも、考え方の習慣が大きいのではないでしょうか。
自分は悲観的だと思う人は、 先のことをもう少し楽観的に考えるように心がける。
自分は楽観的だと思う人は、 もう少し慎重に計画を立てるように心がける。
このような心がけが できるようになれたらいいのではないでしょうか。
たしかにそうだが、筆者はこう思う。
楽観的に構想し、悲観的に計画し、楽観的に行動するのではない。楽観的に構想し、悲観的に計画し、現実的に行動するのだ。
人を動かすということには戦略が必要、というのがここまでの主旨であるが、戦略というのは楽観的でも悲観的でも立てることはできない。極めて現実的な仕事である。
戦略とは問題解決の筋道を定めるものだ。問題とは理想と現実のギャップである。現実をありのままに見ることができないとは、現状認識の失敗を意味するから、必然的に問題認識も間違え、間違った問題認識からは間違った戦略が導き出されることになる。
過去の出来事に関する評価、未来に起こるであろうことに関する憶測や推測、そういったものは問題認識や戦略立案にはノイズでしかない。未来がこうなるからこういう対策を打っておく、それも確かに戦略の一貫であるが、やや消極的だ。戦略は理想実現・目標達成・問題解決に必要なものであり、未来創造のための積極的姿勢でありたい。
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