見えない突き【稽古備忘録】金山剣術稽古会20171120(杖術、剣術、抜刀術)

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【読了の目安 : 5 分】

午前中に毎週月曜定例のパーソナルトレーニングを終えて一旦満身創痍になったあとの稽古会参加で今日もフラフラ。稽古会で下半身鍛錬をすることを見越して上半身特化で限界重量チャレンジ。

筋トレにはスクワットベンチプレスデッドリフトのビッグスリーという3大種目があるのだが、稽古会でスクワットに相当する鍛錬を行うので、パーソナルトレーニングではベンチプレスとデッドリフトを行った。

前回の限界重量チャレンジで140キロを上げたデッドリフト、今日は150キロに挑戦したが完敗。まだまだ。星がちらつくほどに力がはいるので上がらなくても効果的。いずれは上がるようになるだろう。あとでトレーナーが撮影してくれていた動画を確認したらフォームが全く駄目だった。体壊さなくて良かった。フォームを修正して再チャレンジしよう。

ベンチプレスでは90キロと暗示を掛けられて上げたのだが実は100キロだった、というのをあとで聞かされ嬉しい誤算。

稽古会での気付きにつながるので今日はこのまま筋トレの話を少し書く。

ニュートラルスパイン

筋トレ種目の御三家と言われるビッグ3は「コンパウンド種目」と呼ばれ、複数の関節や筋肉を動かす種目であるため多くの補助筋群が使われ、全身の筋肉を隈なく鍛えることが出来る。また、限界重量チャレンジでは、正しいフォーム正しい力学的モーメントの作用が必須だから細かく色々見直しができる。

高重量を上げる時にはリフトの最初から最後まで体幹をしっかり固定し、ニュートラルスパインを保つことが重要。ニュートラルスパインはあるべき背骨の位置を意味する。背中を丸めすぎず反らしすぎず、ナチュラルな姿勢にする。

腹式呼吸により横隔膜を下げて腹圧をかける。こうすることで腰を平らにできニュートラルスパインが維持しやすくなる。

ヒップヒンジ

ニュートラルスパインに並んで重要なのがヒップヒンジだ。

ヒップ(お尻)のヒンジ(蝶番)。つまり、股関節の使い方。

下半身は下から、足関節、膝関節、股関節と、トリプルエクステンションと呼ばれる3つの関節の連動によって動く。

特に腿と背中の人体で一番でかい筋肉を繋ぐ股関節は、最もでかい筋肉の連動に関わってくるから、つまり、パワーを発揮できるか否かは、股関節、つまりヒップヒンジの運用如何に関わってくると言って良い。

古武術では膝を抜く、膝をえますとか膝関節の運用や、足裏を浮かす、踵から、踵をつけて、など足関節の運用については多くの教えがあるが、断言しても良い。一番重要なのは股関節ヒップヒンジだ。

スポーツや武道では、ケツが効いてない、お尻が使えてない、へっぴり腰、などと言われることが多いが、この場合のケツやお尻、腰というのはつまり股関節(ヒップヒンジ)のことである。

ちなみに、トリプルエクステンションの中でも股関節の貢献度を高めると故障が少なくなる。逆にいうと股関節を鍛えないと、靭帯損傷(足関節捻挫、前十字靭帯損傷、内側側副靱帯損傷など)や筋肉や腱の傷害(アキレス腱炎・損傷、ジャンパー膝など)のリスクがうんと高まることになる。

ヒップヒンジについてはこちらの動画がわかりやすい。ニュートラルスパインにしてもヒップヒンジにしても具体的な運用方法はそれぞれ検索してもらえればいくらでも出てくるのでここではあえて説明しない。

稽古備忘録

背中の使い方と股関節の使い方のポイントを筋トレ的にまとめてみたところでいよいよ稽古の話に入ろう。武術や武道というのはどうも日常生活から乖離しがちであるが、それは伝承を自身の肉体を使って検証することをしないで頭でっかちにやりがちだからである。

伝承はヒントであり、検証のための材料にすぎない。実際には自分の身体を使って、身体を通じて体現できたものしか日常生活や他のフィールドで活かすことは叶わない。

また、武術・武道の世界には「パワーではなくテクニック」だと、筋トレを頭ごなしに否定する筋トレ否定派が存在するが、そういう人にはこう質問することにしている。

「では、テクニックが同等の場合、有利なのはパワーがある人ない人?」

確かに力の衰えは技を高めることによって補うことはできるかもしれないが、力ではなく技、というのは力のない人、衰えた人の詭弁でしかない。

余談であった。

さて、稽古備忘録だ。

杖術では下段からの突きを行った。今まであまり使えていなかった下手の運用方法の改善によって、最近ハマっている袈裟斬り同様、初動(オコリ)を感じさせない超実践的な突き技となった。

先生は「自分を騙すように」と何度も言っていたが、なるほど、ガラスに映る自分の動きを見ていても、見えない。突くぞ突くぞと思っていても見えない。

先日はかの袈裟斬りを今のところの自分の中での一之太刀に認定したが、この下段からの突きは、杖術における自分の中での一之突きに認定する。敵は反応できないはずなのでこれは必殺技と呼んで良い。

続いて二十連円打を久しぶりに。順番をすっかり忘れてしまっていたが程なく思い出し、今まで苦手であった(どうもしっくり来なかった)上手二旋、下手二旋からの片手打ちに少し進展が見られた。

剣術では袈裟斬りをさらに深めた。峰渡では背中の使い方を学んだ。

抜刀術では巴抜き懐月を行った。

さらっと書いたが、剣術と抜刀術の各技には共通点がある。背中と股関節の使い方だ。ここでようやく前段の筋トレの話と繋がってくる。

剣術にしても抜刀術にしても、発剣の瞬間にすべてのエッセンスが凝縮されている。

居合は鞘の内というが、大切なのは鞘の内ではなく刀が鞘に収まっている状態での身体のつくり方だ。ニュートラルスパインとヒップヒンジが調和して抜けのない充実した身体が作られる。

これを仮に「武術的身体」と呼ぶことにするが、発剣する直前の「身体のつくり」=「武術的身体」ができているか否か、これが初動(オコリ)を見せない、見えない斬りや突きにつながるし、普通に歩いているだけでも「あ、斬られる」と感じさせるような隙のない身体を作っていくことになるのかもしれない。

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後藤健太

【サムライ社長】
斬法総合研究所所長/真剣武士道指南役
株式会社コンセプト・コア代表取締役/経営コンサルタント
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