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参加予定者が体調不良とのことで金山先生とのマンツーマンとなった今日の稽古会。
更衣室に入るやいなや、前使用団体のメンバーの残り香に鼻をツンとやられ少し意気消沈した。
公共施設に限らず、汗かきが多数出入りするスポーツ、武道系の更衣室には、我が社取扱のフィルターレス空気清浄機の導入を義務付けてほしい。冗談ではなく。
武道場はすでにひしめき合う様相で顔見知りや知り合いも多く集まっていたが、杖や木刀でカンカン打ち合いながらズズイとスペースを確保。
杖術では上段扇抜きと先週教わった新技で身体運用および手の内の確認を念入りに行った。重心は置きどころを間違えると動きの連続性が途切れるし、淀み停滞居付に溜めが生まれ結果的に隙きとなり絶体絶命。
何度もゆっくり留まることなく動きを確認しながら小一時間ゆっくり丁寧に稽古した。
つづいて剣術では金山剣術稽古会ではいまだかつてなかった斬り上げの研究。ざっくりと方針を決めたあと金山先生と二人でああでもないこうでもないと検討。
あれよあれよという間に凄まじい斬り上げが生まれた。
これは未だかつて見たことがないもので、通常、斬り上げというのは重力に反するために遅く弱くなるうえに、大きく振りかぶらないと必要な威力を出せないのが当たり前という既成概念が、まったくひっくり返ってしまうものとなった。
振りかぶりもないしオコリもない。
無気配の状態から一閃!強烈な一撃が繰り出される。最短最小で最大の斬撃であるから二の太刀への移行も極めてスムースで速い。
試しに居合刀に持ち換えて振ってみると「ビュン!」と迫力ある音がした。
いかにも金山剣術らしい技が生まれた。
いつもそうだがこうして新しい技が生まれるときというのは、その技を繰り出すために必要とされる身体運用や肉体的条件が揃ったときだ。
身体が自然とその動きを求めるようになる。この不思議な感覚をこの稽古会ではとても大切にしているし、メンバーはそれを至上の喜びとしている。
この技で試し斬りするのが楽しみで仕方がない。
最後に抜刀術。剣術に新しい斬り上げが生まれたその必然で自然な流れから、似たような身体運用を要する飛燕の検討に入る。
今まで間違って行っていた手続きに修正を加えると驚くほど早く抜けるようになった。早くというのは速く抜こうと思っていないにも関わらず手続きが省略されたために早く抜けてしまう状態だ。
抜刀術に限らず、わたしは斬り上げに並ならぬ情熱を傾けている。
それは使い手が少ないこともさることながら、地上戦の粋が詰まっている気がするからだ。
やってみれば分かるが敵が自分よりも大きい場合、当然上段攻撃というのは効果が半減もしくは無効化されてしまう。必然的に斬り下げの有効範囲は少なくなる。
今でこそいくつか対応策はストックできているが、居合をはじめた当初は斬り下げに対する対処方法は型稽古を通じて幾種類も習い覚えたが、斬り上げに対する対処法はほとんどなく、防御策、対応策と言えば、柄を使ったものや技の発動の前に止めたり先の先をとったり、という裏技的なものばかりだった。
それですら、オコリを消されてしまえば対処のしようがないし、まして後の先を取られたら絶望的である。ようは自分が対処法を思いつかないので好きになったのだ。
しかしながら、前述したとおり斬り上げで有効打を放とうと思うとどうしてもモーションが大きくなる。それは仕方のないことだと思いこんでいた。この固定観念、既成概念が覆された爽快感といったら私の斬り上げ好きにますます勢いをつけることとなったのは言うまでもない。
そして今日生まれた金山剣術らしさ満載のオコリを消した最短最速の斬り上げは、私の趣向にも合致し、大好きな技のラインナップに加わることとなった。
今後の進展に弥が上にも期待が高まる。