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8月19日(金)付、今朝の日経MJのトップページより「マッチョ消費動く」との大見出し。
40、50代男性の体づくり意識、肉体改造需要が高まっているそうだ。健康意識よりも成果が目で見てわかりやすい体形に意識が集中しているよう。
特に、この世代は出世レースがそろそろ終わる世代で、体力が瞬発力などいろいろなものが衰え始める時期。
「筋トレは誰でも効果が出るため、実生活の手応えのなさを補っているのでは」
とは男性学を専門とする武蔵大学の田中俊之助教。
中年男性の自己成長実感の刺激がポイント
仕事柄トレーニングジムの経営指導も行っているが、指導開始当初から常々行って来たことの一つが、トレーニングジムが提供する価値について。その一つは間違いなく「自己成長実感」。
悲しいかな。多くの中年男性は、会社では部下を持つ立場になり部下を成長させても自分が成長する機会はなかなか得られず、家に帰っても家族からは駄目出しばかりされ、増える貯蓄とは裏腹に自信貯金は失われる一方だ。
自己成長実感が提供できるのであればなにもトレーニングジムに限らない。ただ新聞記事にあるように、肉体改造は成果が目で見てわかりやすいのでフィジカルトレーニングは自己成長実感を得られやすい。
肉体改造を取り巻く大きな市場
肉体を変えるためには、それをサポートする商品とサービスの需要が高まる。肉体が変わると着るものが変わる。
つまり、肉体改造を取り巻く市場がダイナミックに動くことになる。
商品とは、筋トレ機器やサプリメント、プロテインなどの栄養補助食品。
新聞によれば、ショップジャパンの腹筋を鍛えるスレンダートーンは15年の出荷台数が前年比3.5倍の59万台位に、腹筋マシンの「ワンダーコア」も同5割増しの188万台になったとのこと。
プロテインを買うのはほとんど40代とのデータも。
また、RIZAPグループの書籍「自宅でできるライザップ」シリーズは30万部を突破したそう。
サービスはトレーニングジムやスポーツジム。ライザップが有名だが、パーソナルトレーニングの需要はうなぎのぼり。
独学・我流は危険。パーソナル・トレーニングをお勧めする3つの理由
こんな記事を書いている筆者は断然パーソナルトレーニング派。
リオ五輪で日本人初のメダルを獲得した卓球男子の水谷隼選手がこんな本を出している。
無駄なトレーニングはいくらやっても無駄。独学・我流・自己流でトレーニングしようとする人に是非読んでもらいたい。
さて、肉体改造の先に広がる市場とは。体形が変わるので当然着るものが変わる。服の買い替え需要が発生するわけだ。さらには、胸板や背中が厚くなりウエストが締まった特殊体形になってくると既成品では合わなくなってくるので、オーダーシャツやオーダースーツの市場が広がる。
こだわりのオーダーシャツやスーツを提供している人はもうお分かりだろう。素材の違いなどものとしての価値ばかり打ち出しするのではなく、シャツやスーツをオーダーするようになる背景や未来まで含めたマッチョなライフスタイルを訴求して行くのも一手だ。
「あなたに似合うピッタリなスーツをお仕立ていたします」というのはどこでもだれでも言ってることだ。そうではなく、スーツ屋がスーツではなく「スーパーマンのような大きな背中、分厚い胸板、キュッと引き締まったウエストとおしりを目指しましょう」というメッセージを発信していたら。「そんな体形の人にこそうちのスーツを着てもらいたい」と宣言していたら。
「身体を作った暁には、かっこいいスーツでもオーダーしようかな」
というささやかな目標はトレーニングを続ける上で有効なモチベーションになりうる。そして、そのスーツを着ることができた、という目標達成は、立派な自己成長実感を提供することとなる。
かっこいいおっさんになること、これは中年男性のほとんどに当てはまる共通の願望かもしれない。
男性学を専門とする武蔵大学の田中助教とは
以下は筆者の完全なる個人的興味というか余談である。男性学とはなんぞや?この武蔵大学助教の田中先生が面白そうなので調べてみた。
Wikipediaにも掲載されてますね。
こちらはツイッター
朝日新聞のオピニオン&ファーラム「待機児童たち」にインタビューが掲載されています。けっこういいことを言っていると思いますが、そんなことより、口を半開きにした僕の表情がセクシーなのでそこに注目してください。 pic.twitter.com/c129D1sjsT
— 田中俊之 (@danseigaku) 2016年7月7日
おもしろw
サイボウズのインタビュー記事
少子化が止まらない理由は「オッサン」にある?-「男性学」の視点から「働き方」を考える-
日本の男性はまだまだ仕事中心。働き過ぎやそれによる過労死の問題が騒がれても、一向に変化の兆しは見えません。こうした状況に真っ向から異を唱えるのが、「男性学」という聞き慣れない学問を研究する武蔵大学の田中俊之助教。男性が仕事中心の生活を変えることは、男性の利益になるとともに少子化問題の解決にも不可欠と論じています。こうした田中先生の主張に、2度の育児休暇を取ったイクメン社長であるサイボウズの青野社長が共感し、対談が実現。男性の働き方について活発な意見を交わします。
男性諸君は肩の荷が少し下りた気がするかもしれない。
こちらは日本の人事部のインタビュー記事。
「男性学」という学問をご存じでしょうか。ウーマン・リブならぬメンズ・リブの運動を受けて発生した、“男性が男性だからこそ抱える問題”を研究する最先端のジェンダー論です。「働き過ぎはその典型。日本では“男”であることと“働く”ということとの結びつきがあまりにも強すぎます」と警鐘を鳴らすのが、この分野の第一人者である武蔵大学の田中俊之助教。折しも企業社会では「女性活躍推進」が喧伝されていますが、女性が変わるためには、男性の生き方や働き方も変えなければなりません。しかしそれがなかなか難しい。なぜ男性は変われないのか。変わるには何が必要か。田中先生にじっくりとうかがいました。
「男性学」が読み解く「働く男のしんどさ」とは?働き方の変革は、企業にとっての「リスクヘッジ」
(以上、日本の人事部インタビューより転載 https://jinjibu.jp/ )
こういう視点はあたらしいものの見方を提供してくれる。参考にされたし。
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