【稽古備忘録】金山剣術稽古会20170817(杖術、剣術、抜刀術)

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【読了の目安 : 4 分】

本日の金山剣術稽古会・新宿場所は珍しく個人稽古に来た人でいっぱいで、いつもの基礎鍛錬をするスペースがなかったため杖のを使ったストレッチ、λ(ラムダ)と肩入れで肩甲骨と股関節を念入りに伸ばしたのち、差替突きを行った。

ぐっと股を割って腰を落とした姿勢で左右差し替えながら突きを行う。これがキツイ!杖になれていない上に、夏季は蒸して杖が手を滑らずひっかかる。なんとか雰囲気だけで来てきたところで、先生が「あと50回!」と号令をかける。

ここにもいた。サディスティック先生が。

居合や剣術を教授している道場の多くは、こうした基礎鍛錬を疎かにしているところが非常に多い。それにより身体的負担が少ないことを理由に老若男女楽しめるとしている。これはかねてより問題だと思っている。足腰が弱ってきている高齢者ほど基礎鍛錬稽古が重要だからだ。

金山剣術稽古会では杖術、剣術、抜刀術の三本立てで稽古を行うが、いずれにも共通の身体操作を行うために、この基礎鍛錬はどうしても欠かせない。鍛錬しないと満足に技を業じることすらできない。逆に言えば、こうした基礎鍛錬を行わずにできてしまっている武術風のものは武術ではなく単なる健康体操であると断言してもよい。

金山剣術稽古会は先生の個人的な武術稽古の探求場であるにも関わらず、その稽古は参加者の技量に応じて臨機応変で、飽きずに楽しく稽古できる。金山先生は稽古方法を相当研究していらっしゃるようだ。

柔らかい手の内

杖術では、左右打込、下段突き、組杖での左右払い突き、水車、巴を前後、左右、抜巴で行った後、繋杖の型を前半部だけ教わった。後半部も含めて全体像を何度か見せていただいたがゆっくりスローモーションでも後半は何やってるか全くチンプンカンプンであった。

早く一通りできるようになって、一人稽古を充実させたい。

杖の扱いに関して先生からは手の内の柔らかさを褒められた。真剣で斬る稽古をしている人は手の内が固く、握り締める傾向が強いため驚かれたのだそう。もしかしたらかつて料理人時代の包丁を柔らかく扱うことが身体化しているからでは?と先生。なるほどそうかもしれない。

正中線の養成

続いて剣術稽古。

木刀による斬割から裏交差、連続斬りの稽古。

この稽古会で鹿島神流の斬割の稽古をするようになってから真向斬りの質が変わってきたのを実感している。斬り割る時の木刀による風斬り音が未だかつて聞いたことのないものとなってきた。まさに空気を斬り割いているようだ。おそらく運刀方法や身体操作の変化(進化)かもしれない。今までの真向斬りは上段の構えからの斬り下ろしに過ぎなかったが、下段構えからの斬割により正中線が強烈に養成されてきたのを感じている。

裏交差からの斬りや連続斬りはまだ形にすらなっていないので備忘録も何もない。まずは自主稽古にて身体にしっかり馴染ませる。

自学自習用も兼ねて先生のお手本を載せておく。

こんなに高速の斬りなんていつ必要なの?と思うが、これは斬るための技ではなく、体捌きの稽古のための技。居合や剣術にはこのように稽古のための技がままある。これをして「実践ではありえないからやらない」などと言う人もいるが、おそらく稽古のための稽古が理解できていないのであろう。

先日のブログでも書いたがやってみなければわからないこと、やってみればすぐに分かることがあるのだ。変な理屈こねてやらない理由を探している暇があるならやってみればよい。

それにしても、白樫の木刀がカーン!と当たる音は本当に心地よい。

制限することで生まれる自由

〆は抜刀術。敵と正対した状態から懐に潜り込んで水月を突く懐月(かいづき)を習った。

 

(15秒から)

あえて鞘引きできない状態を作り体捌きで抜刀するというのが新しいかった。実を言うと抜き打ちの斬撃力を上げるためには鞘送りをあまりせず、鯉口をなるべく身体に近いところにしておくのが手ではなく身体で斬るためノウハウなのだが、これに近い。

ただし、これは体捌きで鞘引きができる人向け。そうでない場合は左手、左半身で鞘引きする必要があるから鞘送りはある程度必要となる。

ノウハウはこの他に肩甲骨や股関節を始めとした関節の使い方、重心のとりかた、腹圧の掛け方など多々あるのであるがここには書けない。

懐月については、かなり完成度が高いとお褒め頂いたがまだまだ自分の身体感覚としてはしっくり来ていない。

本人的にはしっくり来ていないのに良いと評価されるものがある。事実そうなのが、左からの袈裟斬りだ。杖でも刀でもそう。自分では気剣体一致からも程遠いし、力も乗っていないと感じるのであるが、逆に無駄な力が抜けて鋭く強烈な一撃を放っている。

これも真剣で畳表を斬ってみれば一目瞭然で、わたしの場合、右からの袈裟斬りでは畳表をあまり止めることはできないが、左からの袈裟斬りの場合、斬った畳がその場でとどまる頻度が高い。不思議なものだ。

稽古まとめ

基礎鍛錬

  1. 杖体操(λ、肩入)
  2. 差替杖

杖術

  1. 左右打込
  2. 下段構え突き
  3. 組杖での左右払い突き
  4. 水車
  5. 巴(前後、左右、抜巴)
  6. 繋杖の型

剣術

  1. 斬割(鹿島神流)
  2. 裏交差
  3. 連続斬り

抜刀術

  1. 懐月(かいづき)

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後藤健太

【サムライ社長】
斬法総合研究所所長/真剣武士道指南役
株式会社コンセプト・コア代表取締役/経営コンサルタント
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