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クリス・クラプトン先生率いる合気道無限塾東京の本部道場にお招きされて金山先生の出張杖術講習会が開催された。夢現塾東京の生徒さん向けであったが、金山先生の生徒さんもどうぞということでわたしも参加。
クリス先生は、塩田剛三先生の高弟であるジャック・パイエ氏に師事し、パイエ氏率いる合気道無限塾(京都を中心世界中に支部がある)の東京支部を任されている。つまり、養神館系だ。
合気道を他者を制圧するための武道ではなく、互いを尊重し、和合するためのコミュニケー ション・スキルとして身に着けさせるよう指導している無限塾の指導方針がにじみ出ているかのように、道場の空気、そこに通う人々の空気感が優しく受け入れてくれる気がして、流儀流派かかわらず多くの武術・武道の道場に足を運んで研究稽古を行っている私にとって、これまでにどこでも体験したことのない感覚を覚えた。
講習会は、金山先生がとても大切にされている動きの核となる部分を鍛える鍛錬稽古に始まり、基本的な技をいくつか行った後、合気道の人たちが興味を持ちそうな杖による崩し技を数種類、これは普段の稽古会ではあまりやらない内容でわたしもはじめてのものがあったので大変興味深く学ばせていただいた。
最寄り駅は、戸越銀座、荏原中延、武蔵小山、西小山の4駅からちょうど中間距離にあり中原街道に面す道場は、立地もアクセスも大変良好で、もと金物屋さんの事務所兼倉庫だったのであろう物件は、武道場として最適な天井高の高さがあり、ここ数年間武術稽古や交流研究が思う存分にできる物件を探し歩いている一人としては、よくこんな良い物件が見つかったなぁと感心しきりであった。
武道・武術系はスクール系事業ではあるが、ボランティア要素も非常に強くビジネスとして成立させるのは非常に難しい。それなりの立地で開業するためにはそれなりの費用が必要となるし、うまく開業できたとしても毎月の家賃や水道光熱費他の経費支払もある。
一人あたり単価(月謝や講習費)も妙に相場観が決まってしまっており、単価を釣り上げることもままならない。下手なことをすると営利目的の道場だと変に噂されることにもなる。(そんなこといっても道場を維持するための必要経費であるのだが)。
持続可能性を考慮すると常設の道場を持つということはとてもハードルが高いのが現状だ。無限塾東京さんにしても毎日教室をやっているわけではないし、開講日にしても一日中開けているわけでもない。つまり、使用しないのに家賃が発生していることの方が多いくらいだ。にも関わらず生徒にとって最適な稽古環境を整える、その姿勢にまったく頭が下がる思いだ。
合気道の伝道と経営の持続。この両立はいつの時代も道場主の責務でもあるし頭の痛い問題でもある。
こういう悩みをもった志高い武術家(指導者)のための武術サロンをいつの日か実現したいと思う。