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本当の問題とは
できない理由を言ったり、やらない理由を並べ立てりして、「これが問題だ」なんて知ったようなことを言う人がいる。
しかしながら、ほとんどの場合それが問題であることはない。
そもそも問題とはなにか。
問題とはなにかがわからないと、問題を解決することなどできないにも関わらず、ただ問題だ問題だと大騒ぎしていないだろうか。
わたしの仕事はあなたの問題を解決し目標達成のサポートをすることだが、問題解決できない人に共通の特徴といえば、問題が何か正確に把握できていないということに尽きる思っている。
つまり、
- 問題とは何かがわからない
- 問題を対象化できない
- 問題を階層化できない
ということだ。
なんのことはない。あなたは問題解決の前に、問題認識 に失敗しているだけかもしれない。
問題発見の失敗要因
大辞林の定義を引用するならば、問題とは、
- 答えさせるための問い。解答を必要とする問い。題。 「算数の-を出す」 「英語の-を解く」
- 取り上げて討論・研究してみる必要がある事柄。解決を要する事項。 「それは-だ」 「 -を解決する」 「大臣の失言を-にする」 「 -点を整理する」
- 取り扱いや処理をせまられている事柄。 「就職の-で悩んでいる」 「それとこれとは別-だ」
- 世間の関心や注目が集まっているもの。噂(うわさ)のたね。 「 -の人物」
- 面倒な事件。厄介な事。ごたごた。 「 -を起こす」
であるという。
解答されるべき・解決されるべき事柄、それが問題だというわけだ。
しかしながら、これこそが問題を捉え難くし、解答・解決できないものとしている要因となっている。我が国を代表する辞書ですらそれを端的に説明することができていない問題とは要は何なのか。
それは、理想と現実のギャップ(隔たり)にほかならない。
問題が理想と現実のギャップであるということは、問題には次の3つが考えられる。
- すでに発生した問題
- これから発生する問題
- みずから発生させる問題
の3つだ。
今現在の状況が本来望んでいる状況と異なっている場合、それは自動的に認識されるだろう。これがすでに発生した問題である
今満足していても将来的に満足されなくなることがあるだろう。例えば6年後の2020年には日本人の約3人に1人が65歳以上となることや、将来的に発生するであろう地震や噴火、津波などの自然災害によって発生する問題などは推測しやすい。これがこれから発生する問題だ。
今特に問題と思っていなくても、努力や工夫によってよりよく改善することや意識を高くすることによって新たに見えてくることもあるだろう。これはみずから発生させる問題だ。
大切なことなので繰り返すが、問題は解決される前に発見されなければならない。
多くの場合、すでに発生した問題は目に見える(顕在化している)ので発見されやすいが、これから発生する問題やみずから発生させる問題は目に見えにくい(潜在化している)ため発見されにくい。
これが、問題発見が失敗する要因である。
対象化の失敗要因
大辞林の定義を引用するならば、対象化とは
- あるものを認識するために,一定の意味を持った対象としてはっきり措定(そてい)すること。
- 自己の主観内にあるものを客観的な対象へと具体化し,外にあるものとして取り扱うこと。反省。
であるという。
つまり、「これが問題ですよ」と明確に特定し、解決する対象として定義するために、不足する情報を集め、分析しなければならない。
問題とは、理想と現実のギャップであることは先ほど述べたとおりだが、そうすると、対象化の失敗(問題の捉え違い)は、そもそも理想的な状態と正しい現状把握がなされていないために発生しているとわかる。
あなたはどうありたいのか。どこに行きたいのか。そして、今、あなたはどこにいてどういう状態なのか。もうゴールは目の前だろうか。そうでないならゴールと現在地はどのくらいの距離があって、その差を埋められない阻害要因は何なのか。
こういうことを突き詰めていって、問題を立体的に全面的に把握することで問題の対象化は達成される。
ところで、要因や原因という話になると、これはこれで正確な認識が必要になってくる。因にも内因と外因の2つがあるからだ。
階層化の失敗要因
内因というのはあなただけでどうにかできること、つまり、あなたの個人的な問題と言える。
外因というのはあなただけではどうにもできないこと、つまり、時代や環境、景気や他人といったことだ。
この場合、外因とはより内因に対して上位の概念であるから、内因に属するあなたはあなたの問題しか解決することはできない。
上司や部下、親や子供、恋人や友人などの他人が変わらないから、景気が悪いから、天気が悪いから、気候が悪いからなと、それが問題だと不平不満を言って大騒ぎしていることのほとんどは外因である。
外因というのはあなたには影響をおよぼすことできないことなので、そもそも問題解決の対象ではない(=問題ではない)し、したがって、できない理由、やらない理由からは除外しなければならない。
たとえるならば、スポーツやゲームで、枠内で手を使わず足だけでプレーして下さいとか、顔面と金的への攻撃は禁止しますとか、ジョーカーは使ってはいけませんとか、いわゆるルールとか縛りの類だと受け入れることだ。その上でゲームをよりエキサイティングにするための条件だと思ったほうがいい。
このように、階層とは積み木構造のように、下層から上層へピラミッド状に序列を保って積み重なったものを言う。階層化とは、物事の序列や秩序を整理し、整然と積み重ねることを言う。
このとき、階層は不可逆的でなければならない。上位の階層は下位の階層の要素を含み下位にの階層に影響を与えるが、その逆はありえない。
たとえば、宇宙の中にある地球という惑星に住む人類は宇宙の法則の影響受けるが、宇宙は人類の影響を受けない。客観的事実は主観的解釈を多様に産むが、主観的解釈は客観的事実を覆すことはない。時間は止めどなく流れるが我々はそれを一時的に止めることも遡ることもできない。
このように、問題とは、
- 発見・開発
- 収集・分析
- 整理・統合
という3段階のステップを経ることによってはじめて正確に認識される。
問題の本質とは
問題とは問題認識によって可視化されたものである。
それは認識する者によって変化する、場合によっては180度異なる可能性があるというのは想像に難くない。
実は、あなたが問題だと認識していることは、他人には問題と認識されないことも多々あるわけだ。問題の本質は、外部にはなくあなたの内側にある。
つまり、その問題は誰のどんな問題なのか、ということが重要だ。誰の問題か=問題の本質、どんな問題か=問題の全体、問題の本質と全体、中心と骨組み、ということだ。
問題解決においては、特に、問題の本質と全体(中心と骨組み)と言っていいだろう。
理想と現実とは
問題とは理想と現実のギャップ(隔たり)であることは何度も述べた。
では、理想と現実とはなにか。理想と現実が何かわからず、理想と現実を正確に捉えることはできない。
理想と現実とは、目的地と現在地ということだ。
目的地とは目的と目標に分けて考えることができる。目的とはそこを目指すべき意義や価値、理由であり、目標というのは目的に対する到達点や通過点、つまり目的地と中継地だ。目的は定性的で目標は定量的だ。
意義や価値の追求、夢の実現を目的とした場合、目標の最終到達点、つまりゴールは、理想が実現された「理想状態」=「目的地」と定義することができる。
すなわち、理想と理想状態=目的と目的地(目標の最終到達点)であって、問題というのは目的地(目標の最終到達点)と現在地の実際の距離(隔たり)ということになる。ここからそこまでどのくらいの距離があって、どんな困難があるのか、それが問題だというわけだ。
まとめ
問題には、「すでに発生した問題」と「これから発生する問題」、「みずから発生させる問題」の3つがあり、問題とは解決すべき対象者の「すでに・これから・みずから」における理想と現実のギャップであり、問題が把握できないとは、理想か現実のどちらか、あるいは理想と現実の両方が不明確であることが考えられる。
問題解決できないということは、問題解決以前にそもそも問題認識が失敗しているのだ。問題は解決される前に発見される必要がある。
問題は、「問題の発見(発見・開発)」、「問題の対象化(収集・分析)」、「問題の階層化(整理・統合)」という3段階のプロセスを経て認識される。
問題の本質と全体(中心と骨組み)とは、どんな立場の人(何らかの目的と意図をもった人)のどんな問題かということだ。
問題解決においては、誰のどんな問題であるか正しく問題認識し、対策を講じて実行しなければならない。
今回は、問題解決以前の問題認識にポイントを絞って書いた。問題解決の具体的方法については別の機会に執筆する。
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