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最近の月曜定例研究稽古は金山先生とのマンツーマンである。
私は金山剣術稽古会に2017年の7月から合流したので早いもので今月で丸一年になる。
この一年を思い返してみると、毎回毎回新しい発見と進化の連続であり、この一年の成長は今までの武道経験の中で比類なきものとなっている。
そんなこんなの一年が経とうとしている6月中旬、以前、手のMP関節を発見した時と同じように強烈な発見があった。強烈な発見というのは、すべての技をアップデートしてしまうほどのインパクトを備える、ということでもある。
稽古中ふと何かに気づくと実験してみる金山先生。今回も「趾の抜き」と表現された技法を発見し、二人で一心不乱に試していた。いろいろ試しているうちに「これは足のMP関節ですね」という話になり、言語による表現が適切になればなるほどインスピレーションが働き、点と点が繋がり線となり面となりで立体になっていくように具体的な技に昇華していく。
これが「趾の抜き」ではなく、古武術の世界では古くは宮本武蔵も五輪書で言っていたような「つま先を上げる」という言葉であったらこのような連鎖的現象は起きなかったかもしれない。
「ああ、知ってますよ」
となりそれ以上の探求をやめてしまうのだ。
「趾の抜き」であり「足MP関節」であるから、「Windlass機構」を思いつき、「つま先を上げる」という動きではなく、「中足指節間関節の背屈」であり「足底腱膜による推進力の発揮」という術理へと理解が進むわけだ。
当然こうした連想が起こるためにはこうした原理に精通している必要がある。知らないものは思いつかない。これは脳みそのいたずらなので、だから知識の拡充は生涯重要である。
足の重要な機能には「Windlass機構」の他に「トラス機構」というのがあり、「トラス機構」については「Windlass機構」と並んで今後の研究課題とする。
この2つが足のどういった機能を担うかをざっくり雑に説明してしまえば、「トラス機構」は「衝撃吸収」であり「Windlass機構」は「安定性確保」となる。
こういうことを理屈っぽく思考していくと
足は人間工学上、最大の傑作であり、 そしてまた最高の芸術作品である。
とかのレオナルド・ダ・ヴィンチの言葉がふと思い返されてくる。
足は大小様々な計28個の骨から構成されており、各々の骨は互いに関節を形成しそれぞれに可動性を有しているが、1つ1つが靭帯や筋肉、腱などの軟部組織で支持され、荷重による強い衝撃にも耐え得る力学的に安定した頑丈な構造をしている。
それだけに足の運用は(手の運用と並んで)人間の動作の要と言えよう。
もちろん、最終的には内蔵まで含めた身体のすべて(生命維持に関わらない部分)を制御・運用していきたいと思っているが、これは全てを順番に一つずつチェックしていくのとは違って、ある一点をトリガーにして雪崩のようにシステマティックに身体が動いてしまう、その一点を探す作業でもあるから、手続きとしてはシンプルになっていく。
足のMPはまさにそういうポイントの一つと言えよう。
検証を重ねて確たるものを築いていきたい。