自律と自立では状態や状況が違う

自律と自立の違いを考察したほとんどの記事で上記のような定義をされてしまっており、結果として、自律は自立の上位概念であり、自律がよくて自立はだめというような論調が目立ってしまっているのは、それが使われる状態や状況を考察に加えていないからだ。
もう一度冒頭の辞書的な意味を振り返ってみよう。

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自律と自立とで、”自”と”他”との間にある距離を想像してみてほしい。何かに気づかないだろうか。
そう。自律は”他”の中、あるいは極めて近接し、その存在を無視できない状態にあるのに対し、自立は”他”の影響などほとんど無視できる状態にある。
例えるならば、国境を共有して隣接する大陸の国々と、海を隔てて孤立する日本のような違いだ。
この場合、大陸の国々は自律であり、日本は自立であるといえる。
実際には、食料やエネルギーなど様々なものを輸入に頼っている日本は真の意味で自立しているとは言えないのだが、自律と自立の違いの理解のための概念としてご容赦願いたい。

自律とは自立を生み出す能力

自律自立は常に主体性とリーダーシップを持つという意味において同義であるが、他者や環境などの外的要因の影響が無視できない場合に自律といい、他者や環境などの外的要因の影響をほとんど無視できる場合に自立という。
たとえば、ブルー・オーシャン戦略という有名な戦略がある。

有名な割に誤解が多い戦略であるが、その要旨といえば、競争の激しい既存市場をレッド・オーシャンとし、競争のない未開拓市場をブルーオーシャンと呼んで、生き残るためには新市場を目指せ、と説いているのであるが、これを誤認して大航海時代さながら海へ出て難破している例を多く見る。
そのロマンティックな響きにごまかされ、イメージを勝手にふくらませて勘違いしてはならない。ブルーオーシャンと聞いて大海原に航海に出てしまうのは、どこかにパラダイスな無人島があると期待しているに過ぎない。たとえそんな無人島を見つけられたとして、そこは文字通り「無人島」なのだ。
たしかに競合はいないが顧客もいない。
わかりやすいネーミングだけで概念的にわかった気にならず、その意味をしっかりと咀嚼する必要がある。ブルー・オーシャンは、レッド・オーシャンの中、あるいはすぐ隣にある。遠く離れて南洋の孤島ではない。それは見つけるものではない。つくるものだ。
すなわち、自律とはレッド・オーシャンの中で競合にさらされない無競争状態を創りだす能力である。結果として無競争状態になったその状態を自立と言うのだ。

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後藤 健太

後藤 健太

サムライ社長/株式会社コンセプト・コア 代表取締役

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