”はじめチョロチョロ中パッパ、赤児泣いても蓋とるな”
ご飯の焚き方の火加減を説明した歌ですね。
最初弱火(はじめちょろちょろ)で炊き始め、ふいたら、強火(中ぱっぱ)にしてたとえ赤子が泣こうが蓋をあけてはならない、
と説明している人がいます。
大嘘です。
そんなことしたら焦げます。それに弱火だとせいぜいぐつぐつするだけでふきません。
御釜で米を炊く場合、最初は”中~強火”です。
最初弱火・・なんてやっていたら、米表面から旨味成分が抜けだして艶がなくなったり、芯まで火が通らなかったり、プリプリモチモチの食感も損なわれます。
「お米は70度で甘みが増す」ため、最初は弱火で70度の時間を長く取るため、ゆっくり温度上昇させる、
一理あるのですが、薪など天然の火で70度を安定させてじっくり温度をあげるなんて超高度な技です。
じゃぁ、なんでこんな歌が出来たのか?
昔は、もみ殻などに点火するので、火がじっくり強くなっていくので、はじめはちょろちょろしていて、次第に火がぱっぱと強くなり・・・という単に熱源の燃焼状態の説明をしていたに過ぎないのです。
今ではガスコンロがあったり、新聞紙やダンボールなど紙で一気に火をつけたり出来ますから、ちょろ火でじっくりする必要もないですね。
ただし、
単に強火でも駄目です。
中~強火と書いたのには理由があります。
美味しいお米をたくためには、沸騰までに10分~15分の時間を要するのがベストです。
お米の糖度を増すために70度の時間を長くするのも、この範囲が限度です。
これより長くてもベタベタな米になりますし、早くても固めでそっけない米になります。
薪を燃やしてお釜で炊く場合、薪の火加減が命です。
失敗しないためには、火をアンコントローラブルな状態にしないことです。
まずは洗米したら羽釜を火にセットせずに、横のほうで親水させておきます。(夏場30分以上、冬場1時間以上)
その間に燃えやすい素材(乾燥した竹や針葉樹など)を下にして、その上に薪をくべて、一気に燃焼させ、薪を炭化させます。
炭化した薪は火が安定するので、そうしたらかまどに羽釜をセット。強火のままだとやけどするおそれもあるので、火がおさまってからするほうが安全というのも理由。
羽釜がセットできたら、今度は薪の上に燃えやすい素材をくべて中~強火の状態を作ります。
薪の場合、ガスコンロと違い薪をくべればくべるほど火力が増すので、上限が分かりにくく、つい火が強くなりすぎます。
ですから、火がまんべんなくお釜の底部を覆ってる状態を目指してください。
いわば、この薪が炭化して火力が安定した状態が「はじめちょろちょろ」ということもできます。
そして、薪の上に燃えやすい素材をくべて火力を増すのが「中ぱっぱ」です。
ここからは、腕時計とにらめっこしながら10分から15分で沸騰させ、一気にふかせます。
ふいたら、かまどから火を噴いている薪などを取り出し、残り炭で弱火の状態を10分~15分維持します。この間羽釜からは蒸気と美味しそうな音が聞こえてきます。
蒸気の様子と香り、音に注意しながらじっくり待ちます。
この間、羽釜の内部では内圧が高まり、美味しいお米が出来てきています。
この状態が「赤児泣いても蓋とるな」です。弱火です。
蓋をとってしまうとせっかくの圧が抜けてしまい、モチモチツヤツヤが飛んでしまいます。
実は、赤子泣いても・・のあとに
”そこへばば様とんできて、わらしべ一束くべまして、それで蒸らしてできあがり”
という歌が続くのですが、
これは、仕上げに強火状態をつくることで「おこげ」を作る様を歌っています。
仕上げに強火にしたら竈からお釜を取り出し、”一旦、お米をかき混ぜ”15分から20分蒸らします。
一旦お米をかき混ぜるのがポイント。
そうすることでムラのない仕上がりになります。
ご参考ください。
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