21時。
こんな時間に何をやっているのかというと、明後日木曜日の斬総研の定例研究会にゲストが体験に来ることになったのでその準備だ。 真剣斬法研究のための試し斬り用畳表はいつも3本から5本くらい。試し斬りの動画ばかり上げているので相当数斬りまくっていると思われているようだが、それは偏った情報発信による錯覚でありマジック。 我々が研究しているのは刀法を補完する意味での斬法の研究であり、その意味において試し斬りはあくまで試し斬りである。研究における仮説の検証に過ぎない。 物切り団体がやっているような切るための数稽古ではないし試し斬り稽古でもない。そもそも試し斬りとはそれ自体が居合・剣術の稽古の一つであって、試し斬り稽古というものは単独で存在しえない。 稽古の一つとしての試し斬りは技量向上のための手段であって、切ることを目的とした試し斬り稽古とは本質的に異なる。 したがって我々はむやみやたらに数を斬ることはないし、我々が一人あたり半年で斬る畳表の数は物切り団体が一人あたり一日で消化する畳表の数と等しいだろう。 それでも毎週定例研究を行うほどには斬っているので、年に数回イベント的にやるところと較べれば相当斬っているだろう。 さて、そんなこんなで毎週メンバー分の畳表をギリギリ仕込んでいる都合上、ゲスト登場となると一気に足らなくなる。 日中仕事の合間にラボにちょっと寄って準備しようと画策していたのだが、未明より娘が発熱。頭が痛いと訴え続けるので病院に連れて行った。ただの風邪だったが、妻も終日外出しているのでわたしが一日看病することに。 家族全員分の夕飯を準備し、妻が帰宅したタイミングでバトンタッチ。 19時に家を出てラボ到着が20時半。30分で畳を巻いて浸け込んだ。 畳を巻いて浸けるためだけに出てくる。 これも遠方より来る朋の来訪を楽しみにしているからこそ。 この朋は過日の居合道八段の収賄問題に絡んで久しぶりに連絡してきてくれた。 その問題とはこちら居合道不正 カネで剣の最高位…範士合格に650万円要求 審査側「誠意やないか」:イザ! https://www.iza.ne.jp/kiji/events/news/180817/evt18081708040008-n1.html
朋はかつてこの世界に属しており、この業界の腐った政治に嫌気が差して公正中立な独立団体を社団法人化して立ち上げた。
どこかで聞いたことがあるような話であるが、実のところ体制の腐敗政治に見切りをつけ真面目にのびのびと武術探求を行っている団体は少なくない。
我が斬総研もそうだ。
体制と書いたが、小規模古流道場ではこの問題のような金銭授受があることはよく聞く。わたしがかつて所属していたことのある居合道場でもそうだ。
範士、錬士、教士を名乗っている先生方に関して中には素人目に見ても技量が至らないように見受けられる人もおられた。最高位である範士に至っては、そこに至るまでにマンション一軒買えるくらいにお金を宗家につぎ込んだという自慢話を耳にタコができるほどに聞いた。
上納金を納めないと手に入らない肩書、金さえ払えば実力無関係に手に入る肩書。
中には免許皆伝を金で買ったという話も。宗家が印可する古流ではありがちだ。
今回業界最大派閥でおこった事件なだけに問題は大きくなった。業界の恥であり業界全体の評判を貶める行為に違いないが、そんなもの我々はとうに気づいて、恥ずかしいので別行動を始めている。
そういう団体もあることを知ってもらえる良い機会ともなろう。
そういう団体は不思議とご縁で繋がる。朋もその一人。
朋の来訪が楽しみだ。
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