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社長ブログ

WASBAR〜ランドリーとバーの融合(ベルギー)

A New Concept = An Old Idea × An Old Idea

コンセプトとは、複数のアイデアの組み合わせであるが、今、ランドリーとバーが融合した新しいスタイルのお店がベルギーで脚光を浴びている。
洗濯機や乾燥機がぐるぐる回るすぐ脇で、コーヒーやビールを飲みながら会話やネットに興じる老若男女。なんともキッチュに見えるが、どことなく懐かしい感覚もある。そう、コインランドリーを利用したことのある人であれば、洗濯機を稼働させている間の退屈な時間を楽しく過ごすために、併設されたカフェや休憩所があればなぁと妄想したことがあるのではないだろうか。
筆者も学生時代にはコインランドリーをよく利用したものだが、スマートホンやタブレット、ましてノートパソコンなどない時代には、雑誌をパラパラめくるか、読書をして時間を潰すしかなかった。(それはそれでとても有意義な時間であったのだが)

より良い雰囲気の空間をつくりたい

ベルギーでは週末、大きなカバンを抱えた若者の姿を良く目にするそうだ。カバンの中身は洗濯物。週末に実家で洗濯してもらい、翌週に備える。WASBARを2012年にオープンさせたドリース・ヘナウ(29)とユーリ・ファンデンボーガールデ(26)の2人もそんな若者だった。

http://www.deredactie.be/cm/vrtnieuws/regio/antwerpen/1.1584912

http://www.deredactie.be/cm/vrtnieuws/regio/antwerpen/1.1584912

退屈で古びたランドリーは多い。音楽や飲食も提供できれば、より良い雰囲気の空間をつくれるはず

すでにデンマークにも似たような業態のお店があるが、それはランドリーと飲食スペースが壁で隔てられ目指すコンセプトとは違った。2人は真新しいドラム式洗濯機のわずか数十センチ脇に、木製のテーブルや椅子、ソファなどを配置し内装にもあえて生活感を加えた。ネットはもちろん無料でつなぎ放題。

http://www.nieuwsblad.be/article/detail.aspx?articleid=DMF20131104_00823248

http://www.nieuwsblad.be/article/detail.aspx?articleid=DMF20131104_00823248

 まるで自分の家のリビングルームみたい

夕方に訪れ、ビール片手にゲームなどを楽しみ、洗濯が終わるのを待つ、そんな来店客が口々にそうつぶやく。
夜には定期的に音楽イベントを開く他、ニュースレターやネットで積極的に情報を発信。客層は実に幅広く、一人暮らしの人々のためのコミュニティといった側面も持ち合わせる。

ショールーミング・スペース

おどろくべきことに、WASBAR利用者の約8割は、自分で選択するのがはじめてだという。したがって、店員に洗濯機の基本的な使い方を尋ねる人も少なくない。
実はこれがWASBARのビジネスモデルの肝なのだ。
ランドリーの利用者が後に洗濯機を購入する場合、すでに使ったことがある製品を選ぶ傾向がある。洗濯機メーカー各社はこの点に注目。マーケティングの一環で、店舗に設置する洗濯機や洗剤などを無償提供しているのだ。
まさに製品を実際に使って体験し、後に店頭やネットで購入するというショールーミングが機能している。オムニチャネル時代のお店のあり方の一つかもしれない。

なんとかカフェの顛末

カフェ+何か、カフェは実に懐の深い業態だ。ブックカフェ、猫カフェ、メイドカフェ、・・・などなど、中には市民権を得て生き残る業態もあるが、いろんなアイデアとコラボして様々なカフェが現れては消えている。
そんな「なんとかカフェ」と言えば、すでに(すぐに?)倒産しているが、2009年7月に渋谷パルコ地下1階にサンプル・ラボが運営していた新マーケティングカフェ「LCAFE」というのがあった。当時、プロデュースする農家のところでLCAFEを開場にしたお米のイベントに参加したことがあった。
店内にはいたるところに様々な企業の新商品サンプルが展示されており、カフェ会員には試供品が配布されるビジネスモデルで一躍話題になっていたお店だ。
ビジネスモデルの目の付け所は面白いと思ったが、すぐにダメになるだろうと思った。その理由は、客層だ。一目見て「バーゲン・ハンター」しかいないことに気づいた。クーポンや安売りの販売戦略で失敗しているお店と同様、価格重視、タダ好きの客はお店の永続的繁栄には貢献しない。
行列をつくったことで話題をさらった業態だったが、見た目のインパクトに騙されてはいけない。この現象を礼賛して「すばらしいビジネスモデルだ」と大絶賛していた経営コンサルタントも多くいたが、「何を言っちゃってるんだろう」と思ったものだ。
行列を作っているお店を見た時には、そこに並んでいる客層の「質」をよく観察したほうがいい。けして見た目の「量」に騙されてはいけない。そこに並んでいる客層が「価値」より「価格」を重視しているようなら要注意だ。フラッシュマーケティングでコースを半額で食べたお客様が、その後正規料金でコースを食べることが少ないように。
さて、WASBARはどうだろうか。まず着眼点が違う。価格で客引きをしているわけではなく、あくまで価値提供を目的としている。洗濯を待つ間の退屈なランドリーをもっと楽しい空間、楽しい時間にしたいという思いからスタートしている。これが永続するかどうかは現地で利用者をよく観察しなければならないが、ベルギーのライフスタイルに密着しているという点では是非とも長続きしてもらいたいと思う。
引き続きその後を追いかけてレポートしたいと思う。

日本での可能性について

なにはさておき、保健所の許可がおりるのかどうかが気になった。これは完全に飲食店からの視点であるが。
一方、コインランドリービジネスの視点で見れば、コインランドリー店舗数は毎年5%前後の伸率で増加傾向にある(厚生労働省調べ)。また、米国と比較して、人口当たりのコインランドリー数は半分程度であり、まだまだ伸びしろのある業態だということができよう。
コインランドリーを使わない人から見れば、家に洗濯機があるのになぜと不思議に思うかもしれないが、コインランドリー利用者のニーズは、

  • 乾燥・・・33%
  • 安くて便利・・・23%
  • 大物洗い・・・17%
  • まとめ洗い・・・13%
  • その他・・・14%

である。

東日本コインランドリー連合会調べ

東日本コインランドリー連合会調べ


コインランドリーの需要は確かにあるわけだから、洗濯や乾燥の待ち時間をより良い時間に、より良い場所にしていくという発想で業態を進化させていけば、もっともっとやれることはありそうだ。
特に、無料のWiFiスポット化はすぐにできそうだ。スマホやタブレット全盛の時代には、WiFiスポットに人のホットスポットも重なっている。

後藤 健太

後藤 健太

サムライ社長/株式会社コンセプト・コア 代表取締役

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