義・勇・仁・礼・誠・名誉・忠義という武士道の7つの徳目の内、前回は4番目の礼についてお話しました。今回は、5番目の誠について。「武士に二言なし」という言葉がある通り誠とは武士にとって命より重い言葉です。誠を尽くすには覚悟を持って誠実に物事を行う必要があり、武士の一言は真実であることから、武士同士の約束事には証文を用いず、証文を求めること自体が不名誉なことでありマナー違反とされていました。つまり、武士とは嘘をつかない、正直であることの象徴でもありました。現代においても大切にされている近江商人の教えに三方良しがあります。近江商人は堅実・勤勉・質素倹約・信用第一を基本とする一方で、無償で橋をかけたり学校を建てたりと、利益の社会還元を進んで行いました。いま巷には多くの詐欺まがいのビジネスが溢れていますが、人を欺いて手にした利には必ず報復があります。近道などありません。耐えるときは耐え、進む時は王道、正道のど真ん中を正々堂々と誠実に歩む。このコロナ禍に業績好調な企業を見るにつけ、正直さこそが利益を保証するのだと改めて感じています。(太)
「満福通信」2020(令和2)年9月号より
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