義・勇・仁・礼・誠・名誉・忠義という武士道の7つの徳目の内、前回は6番目の名誉についてお話しました。今回は、7番目の忠義について。ここまでの6つの徳目は、いわば儒教思想に基づく武士以外にも一般的に共通する倫理ですが、忠義だけは武士道を武士道たらしめる徳目であり、封建社会の価値観の象徴でもあります。そして、現代においても最も誤解されている徳目と言っても過言ではありません。忠義とは滅私奉公に代表されるように、主君や国に対し私利私欲を捨てて尽くす忠誠心ですが、これは媚びへつらうことや忖度することではありません。あくまでも主君や国が天の意に沿う場合においてのみ適用される徳目であり、主君や国がこれに反する時や、間違っている時には、命がけでそれを正すのもまた忠義とされました。尽くすのは主君や国のさらに上にある天であり、その心は「誠心誠意真心を尽くす」ことです。人として正しいことを真心を込めて誠心誠意行うこと。事業や仕事とはかくあるべしと気が引き締まります。(太)
「満福通信」2020(令和2)年11月号より
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