自律とは排他力を発揮することである

外的要因に囲まれた環境で、それに影響されない自立した状態をつくるとは、つまり、排他力を発揮するということにほかならない。
つまり、自律とは市場で排他力を発揮し、あたかも自立したような状態を実現することだ。
それは必ずしもNo.1であるとか、卓越しているとか、そういうことではない。マーケティングやコピーライティングの世界では、商品やサービスになんでもNo.1とか日本一などをつければ売れる、というような「浅い」ノウハウがもてはやされていて、それに騙されて購入している消費者も数多くいるのが現実ではあるが、そういうことをしなくても選ばれる、あなたの商品やサービスしか選ばれなくすることは可能だ
たとえば、顧客が購買を決める前には、比較検討の段階がある。この時点で顧客は二者択一にまで絞り込みを行うが、ここまで来ればほぼ間違いなく選ばれる、ということが実現できれば自立状態をつくれるわけだ。
そのためには、大前提として商品やサービスが一級品であることが条件だ。No.1とか日本一とか、本物とか真のとか、あえてそう言わずに自立状態を実現するのだ。
それが自律のマーケティングだ。

自律か自立か

こんな話がある。よくある事例なので、共感する読者も多いことだろう。

会社が目標を掲げる際、「自立」か「自律」かで悩むケースが多いという。「自律」つまり社員が自分で自分を律するようになると管理しにくくなり、キャリアアップのために辞めるのを奨励しているように見える。そのため結局、「自律」ではなく「自立」に落ち着くそうだ。
そこには、社員を囲い込んでおかなければほんとうに優秀な社員が辞めてしまうのではないか、という会社側の腰の引けた姿勢が垣間見える。
それは、子に「自立しろ」といいながら自分の手元から手放したくない親と同じだ。本気で自立を促したら、兄弟の中でもしっかりとしたできの良い子のほうが、これ幸いと出て行ってしまい、出て行ってほしい子のほうは石にかじりついても親元から離れない。親はそれを恐れているので、「自立しろ」といっても迫力がないし、子はそうした親の本心を見抜いているのでいつまでも甘え放題、好き勝手にふるまう。(社員が「よく辞める」会社は成長する!

このような事例は、自律自立の概念上の違いを認識していたら回避できたはずだ。
先の例に習えば、自立は自律の結果でしかないのだから、企業が求めるべきは、結果としての自立ではなく、行動としての自律であることがわかる。これは自立を選択した上述の腰の引けた会社と180度正反対の結論である。
つまり、根本戦略の違いであり、これを間違えてしまった場合、致命傷となる極めて重大な意思決定である。

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後藤 健太

後藤 健太

サムライ社長/株式会社コンセプト・コア 代表取締役

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